継続的なインフルエンサーマーケティングで「Apex Legends Mobile」ユーザーコミュニティの活性化を図る

レーデン 魁(かい)氏 / Kai Layden
Electronic Arts
Japan Mobile Community Engagement Manager

 米国カリフォルニア州に本社を構えるElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)。家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、PC、携帯電話など、あらゆるプラットフォーム向けにエンターテイメント・コンテンツを開発し、全世界で販売する世界最大規模のゲームソフト会社です。


 中でも人気タイトルの「Apex Legends」は、PlayStation®4、PlayStation®5、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、PCで無料で楽しめるバトルロワイヤル形式のシューティングゲーム。そのモバイルアプリ「Apex Legends Mobile」のリリースにあたり、エレクトロニック・アーツは、日本市場に向けTHECOOとともにインフルエンサーマーケティングを実施しています。


 リリース期だけでなく、その後も継続してインフルエンサーマーケティングに取り組み続けているエレクトロニック・アーツ。同社は、なぜTHECOOをパートナーに選び、どのような成果を上げているのでしょうか。エレクトロニック・アーツのレーデン 魁氏にお話を伺いました。

明確なターゲットに向けた緻密なマーケティング戦略

 モバイルビジネスのコミュニティ エンゲージメント マネージャーとして、ソーシャルメディアの運用やPR、インフルエンサーマーケティングなどをご担当されているレーデン氏。「Apex Legends Mobile」のリリースに向けて、どんなコンテンツが日本のユーザーコミュニティに刺さるのかをモニタリングしながら、約1年をかけてマーケティング戦略を立てたと言います。


 「Apex Legends」は2019年2月から配信されており、すでにグローバルで多くのユーザーを擁する人気タイトルに成長しています。そんなPCやゲーム機器での操作に慣れ親しんでいるユーザーに、モバイルでプレイする本作を同様にプレイしてもらうのは、画面サイズや操作性などの制約もあり決して容易なことではありません。


 そこでレーデン氏は、THECOOから提示した候補インフルエンサーの中から、『Apex Legends』の実況動画を配信している人」と「『Apex Legends Mobile』の競合タイトルの実況動画を配信している人」の2軸で、約20名のYouTuberを選定。前者に対しては、「モバイル独自の機能やキャラクター」を、後者に対しては、「Apex Legends Mobileの世界観やストーリー性」を訴求するため、それぞれの視聴者に合わせたオリエンテーションを実施し、ブランドの意図とインフルエンサーの制作方針がずれないよう進められました。


 加えて、リリースの1週間前にはインフルエンサー向けに「Apex Legends Mobile」の事前プレイ版の提供を開始。認知拡大とユーザー獲得を目的にした、リリース直前のYouTubeプレイ動画配信や、一部Twitterを使ったプロモーション投稿も合わせて依頼されたそうです。

5つのKPIがもたらすフェーズ別のインフルエンサー起用

 インフルエンサーマーケティングを実施するにあたり、レーデン氏は5つのKPIを設定されています。まずはインストール数、アクティブユーザー数、収益、CPV。そしてレーデン氏が独自で作成したVPFです。

 

 VPFとはViews per Followerの略で、1動画あたりの再生回数をフォロワー数で割って算出します。このVPFに着目することで、単にフォロワーが多いだけで再生回数が伸びないインフルエンサーを見極めることができるのです。

 

 「いくら事前にインフルエンサーを選定していても、実際に配信してみると期待していたほどの効果が得られないケースは、どうしても出てきます。だから2週間に1度KPIを確認して、常に起用するインフルエンサーを見直すようにしています」(レーデン氏)

 

 KPIに基づく改善を重ねた結果、インフルエンサーマーケティングを通して知名度及びインストール数の最大化を達成できたそうです。

 「Apex Legends Mobile」のリリース以降も、月に2回ほどの頻度でYouTuberを活用したインフルエンサーマーケティングを継続されているエレクトロニック・アーツ。現在の主な目的は、休眠層の掘り起こしとコアユーザー数の増加だと言います。


 「リリースから少し時間が経ったので、新規ユーザー獲得は広告などに任せ、インフルエンサーマーケティングでは競合タイトルだけでなく、モバイルの大衆向けタイトルを配信しているインフルエンサーにも起用の幅を広げています。まだ起用していない候補者もたくさんいるので、本作と親和性の高い視聴者を抱えているインフルエンサーは、今後も積極的に起用していきたいですね」(レーデン氏)

インフルエンサーの声を開発に活かす

 エレクトロニック・アーツに入社される前も、同じゲーム業界でインフルエンサーマーケティングに従事されていたというレーデン氏。なぜ今回のパートナーにTHECOOを選ばれたのかを伺ったところ、次の3つの理由があるとお答えいただきました。

 

 「1つ目は、ゲーム業界に関する知見が豊富にあるから。2つ目は、グローバル企業特有の不確実な動きにも、柔軟に対応してもらえるから。3つ目は、他社と比べて費用が適正だと感じたからです」。

 

 インフルエンサーとの連携はプロモーションだけではありません。エレクトロニック・アーツの開発者はマーケティングチームと密な連携をとっており、また日本の意見を取り入れる姿勢が強いことから、THECOOを介して日本のインフルエンサーと米国の開発者をオンラインでつなぎ、フォーカスグループインタビューを実施しました。実際に日本のインフルエンサーから出てきた意見を受けて、「Apex Legends Mobile」のアップデートに反映したこともあるそうです。

 

 最後に、レーデン氏は「『Apex Legends』で行っているようなインフルエンサーを集めたストリーマー大会を、『Apex Legends Mobile』でもいつか開催したい」と今後の展望を語りました。

(文:野本 纏花)

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