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「マージマンション」に学ぶ、ミドルファネルに刺さるインフルエンサーマーケティングの秘訣とは
渡辺 修平氏
Metacore Games Ltd
JP/APAC担当プロダクトマーケター
全世界5,500万ダウンロードを突破した大人気モバイル向けパズルゲーム「マージマンション」。シンプルでクセになるパズルゲームと、謎めいたウルスラおばあちゃんが繰り広げる壮大なミステリーを楽しめるとあって、国内外の多くのユーザーを虜にしています。
そんなマージマンションを提供しているのは、フィンランドのヘルシンキとベルリンにオフィスを構えるモバイルゲーム開発会社MetacoreGames。同社は2020年、マージマンションのリリースとともに設立されました。
そして今回お話を伺ったのは、マージマンションの日本・APACにおけるプロダクトマーケティングマネージャーである渡辺修平氏です。渡辺氏は、2024年に日本市場に向けて初となるインフルエンサーマーケティングを実施。
なぜ日本市場でインフルエンサーマーケティングの必要性を感じたのか、そしてなぜTHECOOをパートナーに選んでいただけたのかなど、詳しくお話を伺いました。
わずか1年でマージマンションが日本で大人気になったワケ
マージマンションが人気を博している国は、アメリカに次いで日本が第2位。メインユーザーの多くが女性です。マージマンションは2020年のリリース当初から日本語に対応しており、アプリ内広告の配信などのマーケティング施策もグローバルチームが統括して行なっていたなかで、2022年頃には日本でも人気の兆しが見えてきていたと言います。
もともと日本のモバイルゲーム市場は、一人当たりの課金額が最も高く、ゲーム開発会社にとって魅力的。Metacore Gamesにおいても日本市場の拡大に力を入れるタイミングで渡辺氏がジョインしました。
マーケティング戦略を立てる中で日本のユーザーにディープダイブインタビューをしてわかったのは、コツコツ進めながらのめり込める”というマージマンションのゲーム性が長期的にゲームを楽しむ傾向のある日本人の嗜好にはまっていたことだったと言います。
「とはいえ、当時のマージマンションに対する日本のモバイルゲーマーの印象は、『おばあちゃんの広告は見たことあるけど、外国製のなんだか怪しいゲームでしょ?』という、あまりポジティブとは言えないものでした。そこでまずはマージマンションの認知や信頼度を高める施策の必要性を感じ、渋谷凪咲さんを起用した日本向けのブランドキャンペーンを実施することにしたんです」(渡辺氏)

2023年11月には、テレビCMや渋谷スクランブル交差点での屋外広告、新宿・原宿で3Dエキシビジョン広告の展開にあわせて、日本限定デザインの宝箱がもらえるゲーム内イベントを開催。その結果、「(日本に合わせた広告をするほど)実はちゃんとしたゲームなんだ」という認知が広がり、日本のユーザーは飛躍的に増えたそうです。
そうして迎えた2024年。次は、これまでに獲得した「マージマンションに対する一定の認知や興味を持っている人たち」や「ゲームの攻略法を模索しているビギナーユーザーたち」に対して、マージマンションのゲーム性をもっと深く伝えるためのコミュニケーションが必要だと考えた渡辺氏は、インフルエンサーマーケティングの実施を決めたと言います。
インフルエンサーマーケティングでゲームの魅力をより深く伝えたい
「これまでにTOFU(Top of the Funnel)向けの主要な施策は概ね実施でき、どのような反響があるのかを把握できた。次は、ファンの多いゲーム実況系のYouTuberにマージマンションを取り上げてもらうことで、カジュアルゲームでありながら意外と奥が深いというマージマンションの魅力を伝えたい」という狙いがあったのです。
そこで渡辺氏が起用したのは、チャンネル登録者数200万人の「SAWAYAN GAMES」とチャンネル登録者数39.7万人の「ほのちゃんねる」。
この2人を起用する決め手となったのは、登録者数や再生数、インタラクションの数や率が、それぞれの予算に見合っていたから、という理由がひとつ。加えて、インフルエンサーが作成したタイアップ動画を、広告素材として二次利用する予定だったことから、ちゃんと顔出しをしている点も重要だったと言います。
「今回はYouTubeでインフルエンサー自身のチャンネルにタイアップ動画を公開してもらうだけでなく、後日それを編集して広告展開することも最初から見据えていました。広告素材にするなら、人の顔が出ているクリエイティブのほうが、反応率が良い。インフルエンサーマーケティングでは、“誰が”紹介するかによって効果に大きなばらつきが生じるため、あえてクリエイターとしての規模や性別に多様性を持たせるようにしていました」(渡辺氏)

前職のGoogle Japanでは、クライアントや代理店向けにYouTubeの分析やデジタルマーケティングの支援を経験していたという渡辺氏。そんなプロの視点から、THECOOをパートナーに選んだ理由について、次のように語りました。
「インフルエンサーマーケティングに関係する代理店、複数社の話を聞いてみたところ、インフルエンサーのリスト自体は、どこも大差ないんですよ。大きく差が出てくるのは、“提案”と”オペレーション“の2つです。
THECOOは、意思決定に必要な数字をこちらから言わずとも出してくれましたし、社内検討をスムーズに進めるために、提案資料や契約書は英語でもらいたいとお願いしても、すぐに対応してもらえました。私はフィンランドに在住していますので、ただでさえ日本とは時差があって、連絡を取るのはリモートが基本となります。そのような環境下で、急ぎたいときにコミュニケーションのロスが発生するのは、つらいじゃないですか。タイアップ動画を制作する過程では、当然、インフルエンサーとのコミュニケーションも発生しますしね。
だからこそ、私たちとインフルエンサーの間に立ってくれるパートナーには、スムーズなコミュニケーションができて、オペレーションにも定評のあるTHECOOを選びました」(渡辺氏)
インフルエンサーのファンを喜ばせることが成果につながると信じて
インフルエンサーマーケティングで得られた成果は、どのようなものがあったのでしょうか。
そもそも渡辺氏が日頃、最も注視している指標は「ROAS(Return on Advertising Spend)」だと言います。特にインフルエンサーマーケティングの効果は、短期的なコンバージョンだけでは見えづらいため、マーケティングキャンペーンを実施してから一定期間を空けて、LTVの推移を長期的に見ていくのです。
「一般的に代理店の方は「獲得率、獲得単価」をベースとしたお話しをされます。それ自体は非常に重要ではありながら、たとえ短期的な成果がよくなくても、長期的にアクティブでたくさん課金してくれるような質の良いユーザーが含まれているのであれば、そこにコストを集中投下すべき、という考え方ですね」(渡辺氏)
したがって今回のインフルエンサーマーケティングの成果を最終的に評価するのはまだ先になりますが、SAWAYAN GAMESのタイアップ動画が、同チャンネルの通常の動画と比べて、再生回数109%・エンゲージメント率107%と好調であるほか、渡辺氏が期待していた「ずっとCMで気になってたけど今回忖度なしで見れてまじでよかった」「マージマンションやってくれるのは神」「忖度なしのガチレビュー好きです」といったファンからのポジティブなコメントが多くついたことが非常に良かったと言います。
「まさに私が求めていたコメントをたくさんもらえて、なんだかインフルエンサーを介してファンとつながれたような感じがしましたね。前職の経験則から、ほんとうは『課金したらもっと楽しく遊べるよ』とSAWAYANに言ってもらったほうがいいのになという思いもあったのですが、“その人らしさ”を出してもらうことが、一番ファンに喜んでもらえるはずだと信じて、グッと堪えておいてよかったです(笑)
ゲームは実際にやってみないとおもしろさがわからないので、インフルエンサーのお二人には『動画の撮影前に一定レベルまでは遊んでみてほしい』とお願いはしたものの、動画内で訴求するポイントは、すべてインフルエンサー自身の感性に委ねました」。タイアップ動画でありながらも多くのファンの心を掴めた背景には、このような渡辺氏の熱い想いがあったんですね。
最後に、今後の展望を伺いました。
「マージマンションは今年で5周年を迎えます。マージマンションは、主人公であるウルスラおばあちゃんがミステリアスなキャラクターで、このおばあちゃんが隠した謎を孫娘のマディーが解き明かしていくストーリーになっています。これからのマーケティング施策においても、ウルスラおばあちゃんのように日本のみなさんに次々とサプライズを届けていきたいですね」(渡辺氏)

(文:野本 纏花)
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