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インフルエンサーの存在感は年々増しています。特に2020年以降はインフルエンサーマーケティングに取り組む企業が大幅に増え、その流れは2023年も続くことが予想されています。消費者がSNSに費やす時間も増えており、インフルエンサーの数やファンへの影響力がますます高まっていることからも、マーケティングの予算規模に関わらず企業やブランドのパートナーとしてインフルエンサーの必要性が高まっていくことになるでしょう。

この記事では、2022年のマーケティングの潮流も踏まえながら、2023年のインフルエンサーマーケティングのトレンドについて考えていきます。

インフルエンサーの起用方針の多様化

インフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増え、インフルエンサーをただ起用するだけでは投稿が埋もれ、望ましい成果が出せなくなりました。よりマーケティング的な仕掛けやシナリオを考えた投稿が求められるようになります。

1. クロスプラットフォームキャンペーンの増加

ある海外のデータでは、SNSユーザーは平均して6〜7種類のSNSを使いこなしていると言われています。消費者が日常的により多くのプラットフォームを利用するようになったため、企業やブランドにとってクロスチャネルキャンペーンは避けられないものとなってきています。

クロスチャネルでのタイアップ投稿によって、より多くのオーディエンスにリーチすることが可能になります。例えば、TikTokは純粋に余暇時間に使われますが、Instagramは交流を目的としていたり、アイデアを探したり、商品やサービスに関する情報収集などに使われたりします。つまり、TikTokとInstagramの両方でコラボレーションを行う場合、製品は楽しくてクリエイティブな方法で共有され、Instagramではより美的で説明的な方法で共有されるなどの使い分けが考えられます。

2. 「嘘のない」コンテンツの重要性

ここ数年、「嘘のない」コンテンツが強力に求められています。インフルエンサーは、企業やブランドのために作成する投稿の中身を精査し、商品がファンの共感を得られそうかどうかを確認しなければなりません。これはブランド側が気をつけなければならないことでもあります。どんなにファンの熱量が高いインフルエンサーでも、自分が興味のない商品であればファンを熱狂させられないでしょう。

そのためには、企業もインフルエンサーも、自分たちと相性のよい相手を見つけ、タイアップを行うことが何より大事です。それは、広告感の強い露骨なタイアップ投稿が問題になる訳ではなく、純粋に話しているブランドや商品に対して興奮が感じられるかどうかなのです。ただし、例えばですが、車に関するタイアップ投稿であれば、実際に車に乗りながらの投稿の方が信頼性は増すはずなので、時と場合によるということはお伝えさせてください。

よりリアルなコンテンツへの要求について語るときに忘れがちなのが、本当の意味でコンテンツに何を求めているかということです。多くのファンにとっては、価値のあるコンテンツに加えて、インフルエンサーのことをより深く知ったり、より多くのコミュニケーションをとれることではないでしょうか。

テレビCMのような一方的なものではなく、スポンサーのブランドや商品についてのQ&Aや、その商品を実際に使う様子を紹介する動画にしてみてはどうでしょう。商品に短所があるとしても、それを差し引いても最高であることをフォロワーに知ってもらえれば、ブランドや商品の気に入らない点を話すこともできます。そうすると、インフルエンサーのファンもブランドのことをより信頼するようになるでしょう。

3. 長期間のパートナーシップへ

2023年には、企業とインフルエンサーは、単発のタイアップ投稿中心の施策から、長期的・継続的なプロジェクトに取り組むようになると予想されます。この転換にはいくつかの理由がありますが、最も大きい要因としては「売上を上げるには時間がかかる」ことがあります。

熱狂的なファンを持つインフルエンサーでさえ、一度のタイアップ投稿だけでは、費用対効果に見合うような貢献は難しいでしょう。特定のインフルエンサーとの長期的なタイアップを行うことは、企業やブランドの信頼感を醸成し行動を促すという意味では単発施策よりも何倍も効果的なのです。また、企業はブランドアンバサダーとの関係のように、インフルエンサーとのより強い関係を築くことに関心を持つようになってきています。

このようなインフルエンサーマーケティングのトレンドにうまく乗るには、通常のデジタル広告のように一定期間にいくつかのタイアップ投稿を含むパッケージを作り、インフルエンサー事務所などに依頼するとよいでしょう。

キャンペーン手法の変化

本質的な部分でインフルエンサーとのタイアップの変化が見られますが、外的要因、内的要因により、キャンペーンの手法もいくつか新たなトレンドが見受けられます。

4. デジタル広告の獲得コスト上昇の影響

マーケティング担当者は、広告費の上昇に悩まされています。2022年のレポートでは、Google広告のリード単価が91%の業界で上昇していると発表されました。これにインフレの影響も加わると、これまでと同じ成果を出すためにマーケティング費用の増加が避けられないことは明らかです。コストの増加は、しばらく前から続いています。The Common Thread Collectiveのデータでは、2022年には一貫して50%以上の広告費が上昇しており、この傾向があらゆるところで見られているのは明らかです。

これには近年のCookieレス(サードパーティーCookie廃止)の問題によって純粋にデジタル広告のパフォーマンス低下もありますし、あらゆる業界でデジタル広告への予算のシフトが起きていることも原因としては考えられます。

そのため、デジタル広告から次の投資先を求めることになりますが、その候補の1つとしてインフルエンサーマーケティングが有力視されています。3つ目のトレンドにも記載しましたが、2023年は企業間でインフルエンサーの取り合いになることが想定されるので、長期的なパートナーシップを結べるインフルエンサーの確保が大事かと思います。

5. オーガニックターゲティング

多くのインフルエンサーが活躍するようになったことで、ニッチなコンテンツや専門的な情報が増加しています。マイクロインフルエンサーが増え、人気を得るようになったことで、「オーガニックターゲティング」とも呼べるようなインフルエンサーの起用ができるようになりました。インフルエンサーの投稿内容、価値観、エンゲージメントを分析することで、インフルエンサーマーケティングでも戦略的にターゲット化し、ブランドに関連性の高いオーディエンスに絞ったリーチができるようになりました。

後述しますが、近年はインフルエンサー自身もより自らの得意分野や世界観に合致する企業とのパートナーシップを結び、より質の高いコンテンツを作り、フォロワーに信憑性と妥当性を示すことを目指しています。その流れに乗って、企業側もインフルエンサー個人の情熱や価値観の近い分野での提携を試みることで、よりニッチな商材でもコンテンツを作れるようになるでしょう。

6. 新チャネルとしてのリテールメディア

広告主がよりコンテンツファーストの考え方になれば、インフルエンサーのファン数の指標はそれほど重要ではなくなっていくでしょう。企業やブランドは、インフルエンサーの人気よりもパワフルなストーリーを伝える力を重視し、タイアップを模索すると推測されます。

また、炎上を避けることを第一に考える企業も増えているため、インフルエンサーのコンプライアンスとブランドの安全性がより重視されるようになるでしょう。同時に、より洗練されたフォーマット、より高クオリティなコンテンツを作るインフルエンサーが増えれば、ブランドにとってオーガニックリーチの優先順位は下がると考えられます。

すばらしいストーリーテリングができるインフルエンサーがいれば、InstagramやTiktokのようなSNSだけでなく、ラストワンマイルに効果を発揮するAmazonをはじめとしたリテールメディアなど、別プラットフォームでインフルエンサーを起用したコンテンツを流し、成果をもたらすことも見込めます。そうなると、メディア間で広告支出をめぐる争いがより激化していくでしょう。

7. リーチ獲得のための広告での二次利用

インフルエンサーマーケティングとデジタル広告を組み合わせる施策は、全体の数としては多くありません。しかしながら、企業もインフルエンサーも、インフルエンサーが作成したコンテンツを広告を通じて拡散させることでメリットを受けることができます。

Facebook/Instagram広告や、その他のSNSの広告ツールで提供されている細かいターゲティング機能を使えば、企業はSNSのアルゴリズムに依存することなく、投稿を見たいと思う人々に高品質のインフルエンサーコンテンツを発信することができるようになります。

インフルエンサーの投稿を広告素材としても使う「二次利用」で成果を出す秘訣は、オーガニックの投稿と同様に、投稿の内容が「リアル」であることを維持することです。消費者はマス施策を中心とした「従来のマーケティング体験」には反応しなくなり、より印象的な体験を求めています。そこで、インフルエンサーマーケティングと広告を組み合わせることで、ターゲットオーディエンスが注目し、記憶に残るようなユニークな体験を作り出すことができます。

8. 「ファネルの全て」をカバーするキャンペーン

インフルエンサーとファンの関係では、消費者の直接的な行動をもたらすため、既存のマーケティングファネルを大きく変えることになりました。つまり、興味や検討のフェーズに向けた施策を用意しなくとも、コンバージョンやロイヤリティに結びつくことがあるのです。この現象は、マーケティングチームにとってはインフルエンサー施策の結果をあらゆる方面で想定し準備する必要があることを意味しています。例えば、TikTokでの投稿がきっかけで、急激な在庫切れを起こしかねないので、在庫を多く確保しておく、などです。

とはいえ、インフルエンサーにはそれぞれの強みがあります。必ずしも全員がそこまで熱狂的なファンを多く抱えているわけではないので、施策ごとにインフルエンサーを組み合わせて実施することが大切です。

そのためには、認知と購買のキャンペーンを分けて管理することが求められます。しかしながら、ファネルが短くなったために、どの施策によって成果がもたらされたかを適切に把握し、成果を高めるための方向転換をリアルタイムに行えるマーケティング人材が求められます。

インフルエンサー自身の変化

ここまで、インフルエンサーマーケティングの「マーケティング」としてのトレンドを紹介してきましたが、インフルエンサー側でも変化が起きています。インフルエンサーの収益源の観点からも2つのトレンドを紹介します。

9. プラットフォームからの収益依存の脱却

YouTube Shortsや他のプラットフォームで収益化に関する新機能が追加されていますが、これらが必ずしもインフルエンサーの収入戦略という点で大きな変化を生むとは思えません。実際、イギリスで実施された、マイクロインフルエンサーからトップインフルエンサーに至るまでの広範な調査では、インフルエンサーの63%がこういった収益に関する新機能に無関心、知らない、または必要ないと考えていることがわかりました。

また、「企業からのアフィリエイト報酬の減少を埋めるために、有料の限定コンテンツを利用する予定があるか」という質問に対しては、回答したインフルエンサーの73%が「予定していない」「わからない」と回答しています。

また、国内でも、過去に人気を集めていたインフルエンサーの広告収入の減少がニュースになったりしていますが、最近のトレンドとして、多くのインフルエンサーがSNSでの活動以外の収入源を持つようになっています。そのため、ほとんどのクリエイターは必ずしもプラットフォームからの広告収入のみに頼るのではなく、あくまで補助的なものになると考えています。

10. インフルエンサーの収益源の多様化

インフルエンサーは、タイアップ投稿だけにとどまらず、より起業家的な取り組みをするようになっています。インフルエンサーが自らのビジネスを始め、サービスを提供し、商品やサービスを販売する傾向が強まっているのです。

たとえば、Instagramでブランドとのタイアップ案件を行う以外にも、インフルエンサーやブロガー、SNSを強化したい企業などのデジタルマーケティング代理店を運営するインフルエンサーがいたり、SNS講座や投稿のプリセットの販売など、さまざまな活動をしています。

9つめの項目で広告収入依存からの脱却の話はしましたが、プラットフォームも多様な収益源を提供できるように機能追加を進めています。2022年、InstagramとTikTokは、インフルエンサーが収入を得るための新機能をテストし、発表しています。

例えば、アメリカで先行して提供されているリールサマーボーナスというプログラムでは、インフルエンサーは優れたコンテンツを作成することで報酬を得ることができ、コンテンツのパフォーマンスに基づいて収入を得ることができます。

Instagramバッジは、いわば投げ銭のような機能で、インフルエンサーがライブ配信中にフォロワーから報酬を得ることができるものです。現在は招待制ではありますが、日本国内でも提供が開始されています。

自らの商品を販売するインフルエンサーについては、Instagramのプロフィール上で既存のショップを追加したり、新しいショップを開設したりすることが容易になりました。商品がなくても、他のショップから好きな商品を追加して自分のショップを作ることができるようになり、お気に入りの商品をファンと共有することで、コミッションを得ることができる機能も追加されています。

まとめ

国内外で起きているインフルエンサーマーケティングに関するトレンドを、「インフルエンサーの起用方針」「キャンペーン手法の変化」「インフルエンサー自身の変化」の3つに関連した形でまとめてみました。

トレンドを追うことがそのまま成果につながる訳ではなく、あくまでマーケティング施策として自社に合わせた形で企画を考え、実施していくことが必要不可欠なことに変わりはありません。

2023年はさらにインフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増えると想定されます。インフルエンサーマーケティングの成功のためにインフルエンサーとの良好な関係を築き、SNS世代の消費者に届けるキャンペーンに取り組んでいきましょう。

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2023年のインフルエンサーマーケティングトレンド
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2023年のインフルエンサーマーケティングトレンド

INDEX

インフルエンサーの存在感は年々増しています。特に2020年以降はインフルエンサーマーケティングに取り組む企業が大幅に増え、その流れは2023年も続くことが予想されています。消費者がSNSに費やす時間も増えており、インフルエンサーの数やファンへの影響力がますます高まっていることからも、マーケティングの予算規模に関わらず企業やブランドのパートナーとしてインフルエンサーの必要性が高まっていくことになるでしょう。

この記事では、2022年のマーケティングの潮流も踏まえながら、2023年のインフルエンサーマーケティングのトレンドについて考えていきます。

インフルエンサーの起用方針の多様化

インフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増え、インフルエンサーをただ起用するだけでは投稿が埋もれ、望ましい成果が出せなくなりました。よりマーケティング的な仕掛けやシナリオを考えた投稿が求められるようになります。

1. クロスプラットフォームキャンペーンの増加

ある海外のデータでは、SNSユーザーは平均して6〜7種類のSNSを使いこなしていると言われています。消費者が日常的により多くのプラットフォームを利用するようになったため、企業やブランドにとってクロスチャネルキャンペーンは避けられないものとなってきています。

クロスチャネルでのタイアップ投稿によって、より多くのオーディエンスにリーチすることが可能になります。例えば、TikTokは純粋に余暇時間に使われますが、Instagramは交流を目的としていたり、アイデアを探したり、商品やサービスに関する情報収集などに使われたりします。つまり、TikTokとInstagramの両方でコラボレーションを行う場合、製品は楽しくてクリエイティブな方法で共有され、Instagramではより美的で説明的な方法で共有されるなどの使い分けが考えられます。

2. 「嘘のない」コンテンツの重要性

ここ数年、「嘘のない」コンテンツが強力に求められています。インフルエンサーは、企業やブランドのために作成する投稿の中身を精査し、商品がファンの共感を得られそうかどうかを確認しなければなりません。これはブランド側が気をつけなければならないことでもあります。どんなにファンの熱量が高いインフルエンサーでも、自分が興味のない商品であればファンを熱狂させられないでしょう。

そのためには、企業もインフルエンサーも、自分たちと相性のよい相手を見つけ、タイアップを行うことが何より大事です。それは、広告感の強い露骨なタイアップ投稿が問題になる訳ではなく、純粋に話しているブランドや商品に対して興奮が感じられるかどうかなのです。ただし、例えばですが、車に関するタイアップ投稿であれば、実際に車に乗りながらの投稿の方が信頼性は増すはずなので、時と場合によるということはお伝えさせてください。

よりリアルなコンテンツへの要求について語るときに忘れがちなのが、本当の意味でコンテンツに何を求めているかということです。多くのファンにとっては、価値のあるコンテンツに加えて、インフルエンサーのことをより深く知ったり、より多くのコミュニケーションをとれることではないでしょうか。

テレビCMのような一方的なものではなく、スポンサーのブランドや商品についてのQ&Aや、その商品を実際に使う様子を紹介する動画にしてみてはどうでしょう。商品に短所があるとしても、それを差し引いても最高であることをフォロワーに知ってもらえれば、ブランドや商品の気に入らない点を話すこともできます。そうすると、インフルエンサーのファンもブランドのことをより信頼するようになるでしょう。

3. 長期間のパートナーシップへ

2023年には、企業とインフルエンサーは、単発のタイアップ投稿中心の施策から、長期的・継続的なプロジェクトに取り組むようになると予想されます。この転換にはいくつかの理由がありますが、最も大きい要因としては「売上を上げるには時間がかかる」ことがあります。

熱狂的なファンを持つインフルエンサーでさえ、一度のタイアップ投稿だけでは、費用対効果に見合うような貢献は難しいでしょう。特定のインフルエンサーとの長期的なタイアップを行うことは、企業やブランドの信頼感を醸成し行動を促すという意味では単発施策よりも何倍も効果的なのです。また、企業はブランドアンバサダーとの関係のように、インフルエンサーとのより強い関係を築くことに関心を持つようになってきています。

このようなインフルエンサーマーケティングのトレンドにうまく乗るには、通常のデジタル広告のように一定期間にいくつかのタイアップ投稿を含むパッケージを作り、インフルエンサー事務所などに依頼するとよいでしょう。

キャンペーン手法の変化

本質的な部分でインフルエンサーとのタイアップの変化が見られますが、外的要因、内的要因により、キャンペーンの手法もいくつか新たなトレンドが見受けられます。

4. デジタル広告の獲得コスト上昇の影響

マーケティング担当者は、広告費の上昇に悩まされています。2022年のレポートでは、Google広告のリード単価が91%の業界で上昇していると発表されました。これにインフレの影響も加わると、これまでと同じ成果を出すためにマーケティング費用の増加が避けられないことは明らかです。コストの増加は、しばらく前から続いています。The Common Thread Collectiveのデータでは、2022年には一貫して50%以上の広告費が上昇しており、この傾向があらゆるところで見られているのは明らかです。

これには近年のCookieレス(サードパーティーCookie廃止)の問題によって純粋にデジタル広告のパフォーマンス低下もありますし、あらゆる業界でデジタル広告への予算のシフトが起きていることも原因としては考えられます。

そのため、デジタル広告から次の投資先を求めることになりますが、その候補の1つとしてインフルエンサーマーケティングが有力視されています。3つ目のトレンドにも記載しましたが、2023年は企業間でインフルエンサーの取り合いになることが想定されるので、長期的なパートナーシップを結べるインフルエンサーの確保が大事かと思います。

5. オーガニックターゲティング

多くのインフルエンサーが活躍するようになったことで、ニッチなコンテンツや専門的な情報が増加しています。マイクロインフルエンサーが増え、人気を得るようになったことで、「オーガニックターゲティング」とも呼べるようなインフルエンサーの起用ができるようになりました。インフルエンサーの投稿内容、価値観、エンゲージメントを分析することで、インフルエンサーマーケティングでも戦略的にターゲット化し、ブランドに関連性の高いオーディエンスに絞ったリーチができるようになりました。

後述しますが、近年はインフルエンサー自身もより自らの得意分野や世界観に合致する企業とのパートナーシップを結び、より質の高いコンテンツを作り、フォロワーに信憑性と妥当性を示すことを目指しています。その流れに乗って、企業側もインフルエンサー個人の情熱や価値観の近い分野での提携を試みることで、よりニッチな商材でもコンテンツを作れるようになるでしょう。

6. 新チャネルとしてのリテールメディア

広告主がよりコンテンツファーストの考え方になれば、インフルエンサーのファン数の指標はそれほど重要ではなくなっていくでしょう。企業やブランドは、インフルエンサーの人気よりもパワフルなストーリーを伝える力を重視し、タイアップを模索すると推測されます。

また、炎上を避けることを第一に考える企業も増えているため、インフルエンサーのコンプライアンスとブランドの安全性がより重視されるようになるでしょう。同時に、より洗練されたフォーマット、より高クオリティなコンテンツを作るインフルエンサーが増えれば、ブランドにとってオーガニックリーチの優先順位は下がると考えられます。

すばらしいストーリーテリングができるインフルエンサーがいれば、InstagramやTiktokのようなSNSだけでなく、ラストワンマイルに効果を発揮するAmazonをはじめとしたリテールメディアなど、別プラットフォームでインフルエンサーを起用したコンテンツを流し、成果をもたらすことも見込めます。そうなると、メディア間で広告支出をめぐる争いがより激化していくでしょう。

7. リーチ獲得のための広告での二次利用

インフルエンサーマーケティングとデジタル広告を組み合わせる施策は、全体の数としては多くありません。しかしながら、企業もインフルエンサーも、インフルエンサーが作成したコンテンツを広告を通じて拡散させることでメリットを受けることができます。

Facebook/Instagram広告や、その他のSNSの広告ツールで提供されている細かいターゲティング機能を使えば、企業はSNSのアルゴリズムに依存することなく、投稿を見たいと思う人々に高品質のインフルエンサーコンテンツを発信することができるようになります。

インフルエンサーの投稿を広告素材としても使う「二次利用」で成果を出す秘訣は、オーガニックの投稿と同様に、投稿の内容が「リアル」であることを維持することです。消費者はマス施策を中心とした「従来のマーケティング体験」には反応しなくなり、より印象的な体験を求めています。そこで、インフルエンサーマーケティングと広告を組み合わせることで、ターゲットオーディエンスが注目し、記憶に残るようなユニークな体験を作り出すことができます。

8. 「ファネルの全て」をカバーするキャンペーン

インフルエンサーとファンの関係では、消費者の直接的な行動をもたらすため、既存のマーケティングファネルを大きく変えることになりました。つまり、興味や検討のフェーズに向けた施策を用意しなくとも、コンバージョンやロイヤリティに結びつくことがあるのです。この現象は、マーケティングチームにとってはインフルエンサー施策の結果をあらゆる方面で想定し準備する必要があることを意味しています。例えば、TikTokでの投稿がきっかけで、急激な在庫切れを起こしかねないので、在庫を多く確保しておく、などです。

とはいえ、インフルエンサーにはそれぞれの強みがあります。必ずしも全員がそこまで熱狂的なファンを多く抱えているわけではないので、施策ごとにインフルエンサーを組み合わせて実施することが大切です。

そのためには、認知と購買のキャンペーンを分けて管理することが求められます。しかしながら、ファネルが短くなったために、どの施策によって成果がもたらされたかを適切に把握し、成果を高めるための方向転換をリアルタイムに行えるマーケティング人材が求められます。

インフルエンサー自身の変化

ここまで、インフルエンサーマーケティングの「マーケティング」としてのトレンドを紹介してきましたが、インフルエンサー側でも変化が起きています。インフルエンサーの収益源の観点からも2つのトレンドを紹介します。

9. プラットフォームからの収益依存の脱却

YouTube Shortsや他のプラットフォームで収益化に関する新機能が追加されていますが、これらが必ずしもインフルエンサーの収入戦略という点で大きな変化を生むとは思えません。実際、イギリスで実施された、マイクロインフルエンサーからトップインフルエンサーに至るまでの広範な調査では、インフルエンサーの63%がこういった収益に関する新機能に無関心、知らない、または必要ないと考えていることがわかりました。

また、「企業からのアフィリエイト報酬の減少を埋めるために、有料の限定コンテンツを利用する予定があるか」という質問に対しては、回答したインフルエンサーの73%が「予定していない」「わからない」と回答しています。

また、国内でも、過去に人気を集めていたインフルエンサーの広告収入の減少がニュースになったりしていますが、最近のトレンドとして、多くのインフルエンサーがSNSでの活動以外の収入源を持つようになっています。そのため、ほとんどのクリエイターは必ずしもプラットフォームからの広告収入のみに頼るのではなく、あくまで補助的なものになると考えています。

10. インフルエンサーの収益源の多様化

インフルエンサーは、タイアップ投稿だけにとどまらず、より起業家的な取り組みをするようになっています。インフルエンサーが自らのビジネスを始め、サービスを提供し、商品やサービスを販売する傾向が強まっているのです。

たとえば、Instagramでブランドとのタイアップ案件を行う以外にも、インフルエンサーやブロガー、SNSを強化したい企業などのデジタルマーケティング代理店を運営するインフルエンサーがいたり、SNS講座や投稿のプリセットの販売など、さまざまな活動をしています。

9つめの項目で広告収入依存からの脱却の話はしましたが、プラットフォームも多様な収益源を提供できるように機能追加を進めています。2022年、InstagramとTikTokは、インフルエンサーが収入を得るための新機能をテストし、発表しています。

例えば、アメリカで先行して提供されているリールサマーボーナスというプログラムでは、インフルエンサーは優れたコンテンツを作成することで報酬を得ることができ、コンテンツのパフォーマンスに基づいて収入を得ることができます。

Instagramバッジは、いわば投げ銭のような機能で、インフルエンサーがライブ配信中にフォロワーから報酬を得ることができるものです。現在は招待制ではありますが、日本国内でも提供が開始されています。

自らの商品を販売するインフルエンサーについては、Instagramのプロフィール上で既存のショップを追加したり、新しいショップを開設したりすることが容易になりました。商品がなくても、他のショップから好きな商品を追加して自分のショップを作ることができるようになり、お気に入りの商品をファンと共有することで、コミッションを得ることができる機能も追加されています。

まとめ

国内外で起きているインフルエンサーマーケティングに関するトレンドを、「インフルエンサーの起用方針」「キャンペーン手法の変化」「インフルエンサー自身の変化」の3つに関連した形でまとめてみました。

トレンドを追うことがそのまま成果につながる訳ではなく、あくまでマーケティング施策として自社に合わせた形で企画を考え、実施していくことが必要不可欠なことに変わりはありません。

2023年はさらにインフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増えると想定されます。インフルエンサーマーケティングの成功のためにインフルエンサーとの良好な関係を築き、SNS世代の消費者に届けるキャンペーンに取り組んでいきましょう。

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