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2026年インフルエンサーマーケティングトレンド:海外と日本の比較、「信頼」がキーワードに
INDEX
2025年も残すところあと半月、マーケティング担当の皆様はブラックフライデーを乗り切り、年内最後のクリスマスや年末商戦へもう一踏ん張りというところでしょうか。THECOOでは2026年1月に初となるコスメWeekへの出展を予定しており、いつもより早い展示会準備にそわそわとしています。
毎年恒例になりつつあるインフルエンサーマーケティングトレンドは、海外のトレンド予測を参考にすることが多いのですが、ここ数年は日本ならではの文化が生まれてきているなと感じています。海外トレンドと比較しながら私個人の見解も踏まえつつ、2026年インフルエンサーマーケティングトレンドをご紹介します。
2026年インフルエンサーマーケティングトレンド
1. AIによる高度なマッチングと予測分析が一般化
すでにAIを活用したインフルエンサーの選定や分析は行われていますが、2026年はさらに一般的に進化すると予想されます。これまでのようなフォロワー数やエンゲージメント率といった指標のみに依存した手動でのリサーチは時代遅れとなり、AIと機械学習を活用したデータ主導のアプローチが標準となるでしょう。
AIツールは、定量的なデータ分析に加え、エンゲージメントの質、コンテンツの傾向、クリエイターの特徴、さらにはブランドの価値観との適合性までを瞬時に分析してくれます。
また、AIの「予測能力」は、過去のデータを基に、特定のクリエイターを起用した場合のキャンペーンパフォーマンスやROI(投資対効果)を事前に予測し、コンバージョンを促進する可能性が最も高い候補者を特定することを可能にします。
例えば、ブランドとYouTubeクリエイターのマッチングから成果計測まで可能な「YouTube BrandConnect」は、Googleが持つ膨大なデータを基に、様々なポイントでGoogle Geminiが活用されていると予想されます。
しかし、AIはあくまで「ツール」であり、創造性や人間味の代替にはならないという認識も非常に重要です。AIには反復作業や分析を任せ、人間は戦略策定や関係構築に注力するという「AIと人間の協働」こそが、成功の鍵と言えるでしょう。
2. 「信頼」と「透明性」を基盤としたインフルエンサー活用
インフルエンサーマーケティングの大きな特徴のひとつに、ファンとインフルエンサーの間の深い信頼関係があります。消費者の購入意向に関わる心理的要素のひとつに、パラソーシャル関係(現実には面識のない相手に対して、一方的に親近感を感じる心理的な人間関係のこと)があり、消費者はインフルエンサーに対してパラソーシャル関係を感じやすい環境が整っていると言えます。
近年の複数の研究では、このパラソーシャル関係がブランドに対する態度や購買意図に重要な影響を与えることが示されています。
海外メディアでは、「数百万人のフォロワーを持つ著名人よりも、ナノ・マイクロインフルエンサーの影響力が中心である」「消費者は広告色の強いメガインフルエンサーの投稿に対し懐疑的になっており、友人からの推奨に近い感覚のマイクロインフルエンサーの言葉を信頼する」といった内容も多く、特に米国では専門的知識を持ったインフルエンサーが注目されています。
確かに日本でも、インフルエンサーに対する社会的信頼性や透明性は非常に重要ですが、それでも日本では人気度(フォロワー数)が信頼度のひとつの指標であるように思われます。


2024年にTHECOOで行った調査では、インフルエンサーに慣れ親しんでいる10代・20代の40%以上が、発信される情報の信頼性においてフォロワー数が重要であると回答しています。
他にも、日本は他国に比べて販売されている商品への信頼度が高く、「公式の情報への信頼度が高い」ことや「レビューやクチコミサイトが豊富で、多角的に検討できる環境」があります。
これらのことから、日本ではフォロワー数を信頼度の指標のひとつであると考えても良いのではないでしょうか。
3. B2Cにおけるスタッフインフルエンサーの増加
海外では、主にB2B企業や人材採用を目的とした「コーポレート・インフルエンサー」と呼ばれる人々がいます。
日本でも、広報、マーケティング、人材採用といった特定分野に特化して情報発信を行うアカウントは存在しますが、インフルエンサーと呼べるのはごく一部でしょう。
また、たとえ企業内でインフルエンサー化に成功したとしても、その人数は1〜数名程度にとどまることが多く、属人化が非常に強いという難点があります。この場合、個人の業界全体への影響力は強いものの、企業としての再現性が乏しくなってしまいます。
そこで注目されるのが、B2C企業の販売スタッフによるインフルエンサー化です。日本では、3COINSやZoff、資生堂などで実施されており、事例も増えています。これは公式アカウントよりも親近感があり、企業に属するスタッフだからこその専門知識も持ち合わせている点が強みです。
ある程度の属人化やトレーニングに費やすコストは避けられませんが、数百〜数千人規模で実施することで、特定のスタッフが退職したとしても、そのノウハウ(ナレッジ)は企業に残すことができます。
また、スタッフインフルエンサーのデータを活用したAIインフルエンサーの事例もあります。他にも、このデータを活用して、消費者がリアルに求めているものを解析したりすることも可能です。
4. 長期パートナーシップやアンバサダー契約が拡大
例年ご紹介をしていますが、インフルエンサーとの長期パートナーシップやアンバサダー契約は今後も拡大すると思われます。目的も多様化してきており、ゲーム業界などではブランド想起を目的に長期パートナー契約を行うケースや、コスメ業界ではUGC増加を目的にアンバサダー契約を行うケースなどがあります。
消費者にとってもPR投稿を目にする頻度が増えているいま、短期的な効果だけでなく、中長期でブランド認知や態度変容も含めた取り組みを行う企業が増えている状態です。海外でも単発依頼は減少し、パートナーシップが主流になると言われています。
インフルエンサー自身のDiscordサーバーや会員制サイトなどで構築しているクローズドなコミュニティにブランドが参加し、熱量の高いファンと直接交流するような、コミュニティ起点のロイヤルティプログラムも重要なトレンドとなります。
THECOOでもファンプラットフォーム「Fanicon」を活用し、コアファン向けに商材理解を創出した事例がありますので、気になる方はぜひご覧ください。
5. 成果報酬型モデルの台頭
マイクロ・ナノインフルエンサーを中心に、成果報酬型のインフルエンサーマーケティングは今後も増加すると考えられます。特に海外では、企業側もROIを求める傾向が強まっているため、成果報酬型での起用がトレンドになりつつあります。
日本でも数年前から、インフルエンサーと成果報酬型でマッチングできるサービスや、ブランドからの起用相談で成果報酬型を求めるケースも増えつつあります。しかし、このような成果報酬型は、消費者やインフルエンサーから嫌悪されるケースが多いため、慎重な判断が求められます。
本来、成果報酬型は、企業・アフィリエイター(インフルエンサー)・消費者にとってWin-Win-Winなモデルであるはずです。しかし、「報酬さえ手に入れば消費者はどうでもいい」といった一部の悪質なユーザーによる行為が注目され、たびたび話題になっています。
SNSにおいては、例えば人間味のないボットアカウント(自動投稿アカウント)が、他人の投稿や動画を勝手に転載したり、質の低いコンテンツの大量生成を行い、バズった投稿に大量のアフィリエイトリンクが貼られていたりすることも多いです。
また近年、Xの広告収益プログラムが開始して以降、「インプレゾンビ」と揶揄される中身のない投稿や、他人と全く同じコメントを大量に投稿するようなスパム的なアカウントが後を絶ちません。これらはインプレッション稼ぎによる広告収益を得ることを主な目的としており、SNSの利便性を著しく損なっています。
こうした一部のユーザーによる悪質行為に巻き込まれないよう、必ず依頼先のインフルエンサーやアフィリエイターがどのようなユーザーであるかを把握できるサービスを活用することが重要だと考えます。
6. AEOによるUGCやコンテンツの拡大
皆さんはAI検索エンジンを活用しているでしょうか。一部データによると、AI活用が遅れがちな日本においても、マーケティング担当者は平均に比べ生成AIの利用が進んでいるようです。
先日、SEOツールのahrefsが、AI検索エンジンが日本国内においてどのようなドメインを情報源としているかの分析結果を公開しました。

各社特徴はありますが、AIは自社サイトだけでなく、SNS、UGC、プレスリリース、外部メディア記事、ブログなど、さまざまな情報源を参照します。
AEO(AI Engine Optimization)によって、より多角的なコンテンツ展開が求められる時代になっており、多様なチャネルでブランド露出を戦略的に設計することが、AI時代のコンテンツ戦略には不可欠となります。
インフルエンサーに限った話ではありませんが、UGC数の増加や質、そしてコンテンツ資産としてのインフルエンサー活用も増えてくると予想しています。
7. オフライン体験への再燃
現在はコンテンツの大量生産と大量消費が行われる時代です。「デジタル疲れ」や「SNS疲れ」と言うとやや大げさかもしれませんが、オンライン上でのつながりが飽和している中で、オフライン体験が再評価されています。
ポップアップイベントや座談会、タッチアップなど、リアルな場での交流は、熱狂的なファンを生み出すための重要な施策となります。オンラインでの認知・理解、EC購入、そしてオフラインでの「体験」によるファン化を組み合わせたハイブリッドな設計が求められるでしょう。
8. 米国でライブコマースは堅調、日本は課題がありつつもTikTokを中心にスタート
米国を中心に、ライブコマースはアプリを離脱することなく決済まで完了できるネイティブチェックアウト機能を備えており、リアルタイムによる熱量のままシームレスな購入体験が提供できることから、非常に注目されています。動画コンテンツから直接商品を購入できる機能がさらにアップデートされ、「ショッパーテインメント(買い物+エンタメ)」がAmazonなどの従来型ECを脅かす存在になるとまで言われているほどです。
しかし、日本ではさまざまな課題があることも事実です。
YouTube Shopping や Instagram ShopNow ではチェックアウト機能がリリースされていないため、商品のカタログ表示にとどまっており、決済などは外部ECサイトに遷移させる形になります。「SNSアプリを離れる、ECサイトに遷移する、商品を検索する、商品をカートに入れる、決済情報を入力をする」、この数クリックが壁となり、ユーザー離脱は避けられません。
2025年6月に、アプリ内で決済まで可能なTikTok Shopが日本でもリリースされ堅調に推移しています。多くの企業がTikTok Shop運用に乗り出していますが、特に購買意向の高いユーザーが10〜20代女性に集中しており、低単価のアパレルやコスメ系が牽引している状態です。

他にも、ライブコマース自体への認知度が低いこと、代表的な専用アプリが無いこと、販売されている商品や公式サイトに対して信頼があることなど、日本独自の文化が伸びない理由と言われています。
しかしながら、ライブならではの熱量を即座に商品購入に繋げられるのは魅力的です。今後、TikTokのユーザー層拡大や主要SNSのチェックアウト機能のリリース、専用アプリの認知度向上が期待されます。
まとめ
インフルエンサーマーケティングトレンドに関する記事も4本目となりましたが、海外でも毎年似た内容になってきており、新しいアイデアやトレンドはなかなか登場しなくなってきました。しかしながら、クリエイターエコノミー市場は今も活発な成長を見せており、インフルエンサーの活躍の場が広がることでマーケティングの形も変化していくのではないでしょうか。
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THECOOは「デジタル×コンテンツの力でブランドの価値を届ける」ことに重きを置いたデジタルマーケティング代理店で、SNSの消費者行動を中心にしたプロモーション施策の立案から実行までご支援します。インフルエンサーマーケティングやSNSマーケティング、広告運用を通じた集客、顧客獲得にお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
経験豊富な担当者が提案段階から納品、投稿までサポートしますので、長期にわたるキャンペーンやプロジェクトの場合でもご支援が可能です。また、プランニングや効果測定には独自開発のツールを活用し、データのご共有にも対応し、定性、定量の両面からブランドプロモーションの成功をサポートします。




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