2024年も残すところ約2ヶ月となり、いよいよ年末に向けてラストスパートが始まったなと感じています。マーケターの皆様は、ブラックフライデーなどの大型セール、ハロウィンやクリスマスといった年末商戦への準備で忙しい最中なのではないかと思います。

少し早いですが、2024年のインフルエンサーマーケティングを振り返りながら、2025年のトレンド予想をご紹介できればと思います。

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2024年のインフルエンサーマーケティングを振り返る

THECOOでは2023年から、インフルエンサーマーケティングのトレンド予想を掲載しております。2024年のトレンド、実際に起こったことを振り返ってみましょう。

2024年のインフルエンサーマーケティングの展望では、下記のようなトレンド予想をしていました。

1. AI活用の進展

2. インフルエンサー主体のデジタル広告

3. ブランド認知の重要性

4. 洗練よりも本音ベースのコンテンツを重視

5. 60秒以内のショート動画に力を込める

上記のトレンドにおいて、個人的に強く実感したのはデジタル広告関連です。インフルエンサーによる投稿を二次利用したSNS広告や、ショートフィードに適用されたコンテンツ形式のデジタル広告を目にする機会が明らかに多くなりました。

またSNSプラットフォームのアップデートでは、YouTubeでショッピングコレクションの発表や、TikTokでAmazon商品の購入が可能になったりと、Eコマース機能のテストやリリースが活発でした。今後正式リリースされていくにつれ、インフルエンサーマーケティングにおいては主に計測面での変化が必要になるのではないかと思われます。

それでは2025年のインフルエンサーマーケティングはどのようなトレンドが予想されるのでしょうか。

2025年インフルエンサーマーケティングのトレンド予想

1. マイクロ・ナノインフルエンサーの活用

昨年からマイクロインフルエンサー、ナノインフルエンサーに注目されるようになってから、実際に日本でもInsatgramやTikTokを中心に活用されることが増えてきました。SNSを活用する企業にとってインフルエンサーマーケティングが一般化してきたいま、この流れは2025年も引き続き継続すると予想されます。


マイクロ・ナノインフルエンサーを活用する目的としては2パターンの傾向があります。

1つめは、エンゲージメント率を重要視したい場合です。

マイクロ・ナノインフルエンサーは、フォロワー数の多いメガ・ミドルインフルエンサーと比べて、ファンひとりひとりと深いコミュニケーションをしています。そのため、エンゲージメント率は高くなる傾向にあります。

2つめは「UGCの増加」です。

SNSでの流行や話題化を狙うのであれば、投稿量を増やすことも必要です。UGC施策はSNSアカウント運用の側面がある一方、キャンペーンなど短期的な施策や新商品発売など瞬間的な盛り上げを狙いたい場合には難しい施策でした。しかし、インフルエンサーマーケティングの認知が広まったことや、マイクロ・ナノインフルエンサーにもタイアップを依頼できるようなプラットフォームが登場したことで、費用をおさえながらマイクロ・ナノインフルエンサーをUGC増加の目的で起用するケースも増えてきました。

重要なのは期待する効果

しかし、トレンドだからマイクロ・ナノインフルエンサーを使う、という判断は少々危険です。例えば、「SNSで話題を生み出したい」が目的なのであれば、ミドル〜メガインフルエンサーを起用したほうがその確度は高まりますし、マイクロ・ナノインフルエンサーを活用するのであれば、それなりの人数を起用しUGC増加の一環で活用する必要があります。

なにを目的とするのか、そのためにインフルエンサーの規模は適切なのかを考慮する必要があります。

2. バーチャルインフルエンサーの登場

まだ馴染が薄いかもしれませんが、日本にも有名なバーチャルインフルエンサーはすでに存在しています。例えば imma はアジア初のバーチャルヒューマンとしてモデル活動を中心にSNSでも積極的に発信しており、多くの企業とコラボをしています。

混同されがちですが、バーチャルYouTuber(VTuber)とバーチャルインフルエンサーは大きく異なります。VTuberは、モーションセンサーでトラッキングすることで映像を動かしているため、画面の向こう側には実際の人間が存在します。対してバーチャルインフルエンサーは、写真や動画すべてCGでありリアルな人間が実際に動いている訳ではありません。所謂 ”中の人”が本当に存在しないのがバーチャルインフルエンサーです。

バーチャルインフルエンサーは、見た目こそリアルな人間と変わりませんが、バーチャルだからこそ人間にはできないことも可能です。例えば、ショートヘアからその日だけロングヘアにしたり、ヘアカラーを変えたりといった見た目の変化はもちろん、自らを複製したりすることだってできます。

他にも、スケジュール調整がほとんど必要ないことや炎上リスクの低さや、ブランドイメージに合ったバーチャルインフルエンサーを作りやすい点などで注目されています。


また、今年6月にはMetaからクリエイター自身のAIチャットボットをInstagram内で制作できる機能を開発しているという記事が公開されました。
また9月の「Made On YouTube」でも、コメントによるコミュニケーション強化のため、AI によってクリエイターのスタイルに合わせた返信文の候補を生成する機能を追加することが発表されました。

もっと知りたい

こういったコミュニケーションがスムーズになれば、バーチャルインフルエンサーによって現在のタイアップ投稿のような商品の紹介が行われる未来もあるかもしれません。

3. 長期パートナーシップやアンバサダー

ブランドがインフルエンサーに投資し、長期的なパートナーシップやブランドアンバサダーとして契約を進めるケースが今後も増えていくと思われます。

すでに日本でも、インフルエンサーに投資している事例はあります。例えば、インフルエンサーマーケティングが当たり前の施策となっているゲーム業界・コスメ業界では、長期的なパートナーシップやアンバサダー契約、ファンイベントのスポンサー支援が行われています。

▼インフルエンサー活動支援

▼インフルエンサーパートナーシップ・アンバサダー

出典:「荒野行動 スター育成計画

もちろんいきなり長期的な契約を行うのではなく、最初はタイアップ投稿、二次利用、定期的なタイアップ依頼、番組出演や新作イベントへの招待などを通じてインフルエンサーとコミュニケーションを深めていくことが必要です。

もっと知りたい

4. ブランドマーケティングの再燃

アドテクの進化に伴い、パフォーマンスを最大化するデジタルマーケティングが主流でしたが、いままたブランドマーケティングへの投資が注目されています。

大きな話題となったのは、今年夏のナイキ株価暴落です。ナイキは、新規株式公開以来、最悪の業績を記録しました。その結果株価は約20%の急落、時価総額にして280億ドルが1日で消えたといいます。

この下落は投資家やアナリストによってさまざまな角度から分析されており、その要因のひとつにD2C戦略が裏目に出たことが取り上げられています。ナイキは2017年にD2C戦略を発表して依頼、直営店やEC販売拡大のために小売パートナーの数を大幅に削減してきました。ダイレクト販売の拡大に注力するも、多くの消費者が裁量的支出を減らして必需品に回したことで状況が変わり、昨年には卸売提携を再開、現在はD2C販売と卸売販売の適切なバランスを見極めようとしています。

決算説明会でCEOのジョン・ドナホー氏は次のように語っています。

我々のコンシューマー・ダイレクト・アクセラレーション戦略は、成長と消費者との直接的なつながりを推進してきたが、いくつかの重要な調整を行う必要があることは明らかだ。

簡単に言えば、4つの分野で調整が必要だ。スポーツに焦点を絞る必要がある。新製品のイノベーションを継続的に推進しなければならない。我々のブランドマーケティングは、より大胆に、より独創的にならなければならない。そして、ナイキダイレクトが引き続き重要な役割を果たす一方で、我々のブランドを高め、市場全体を成長させるために、卸売パートナーとともに力を合わせなければならない。

DIGDAY:ナイキ 、9年ぶりにデジタル事業売上が減少。D2C戦略の有効性問われる

また、ブランドマーケティングが見直される要因は、情報の信頼性からも伺えます。

出典:THECOO調べ「PR投稿におけるブランドイメージに関する調査

弊社で2024年4月に実施したブランドイメージに関する調査を実施しましたが、消費者は情報が信頼できるものかの判断力が非常に高くなっており、ブランドへの信頼度や透明性を重視するようになっています。

消費者にとってインフルエンサーは非常に信頼できる存在です。対してインフルエンサーもファンと非常に近い場所に位置しています。そのため、インフルエンサーマーケティングに取り組むブランドも、同様に信頼度と透明性を高い水準にする必要があります。

広告であることの開示はもちろんのこと、ブランドの価値観が一致し、消費者の共感を呼ぶインフルエンサーとともにマーケティングを行っていく必要があります。

5. AIデータによるインフルエンサーマーケティング

AIによるクリエイティブやデータ活用分析の進化は、昨年も取り上げていたテーマとなります。

PwC Japanグループの「生成AIに関する実態調査2024 春」によると、生成AI活用の推進度合いの調査で、米国は推進中以上が全体の91%以上で日本より24ptも多い結果となりました。日本では生成AIリスクへの対応策が遅れていることもあり、AIを活用したインフルエンサーマーケティングツールは、海外製品が中心です。主にデータ分析やデータに基づいたインフルエンサーの提案の部分で活用されています。

出典:PwC Japanグループ「生成AIに関する実態調査2024 春 米国との比較

今後の予測としては、「消費者データの分析」「トレンド予測」「コンテンツ戦略」でのイノベーションが期待されています。

他のデジタル広告と比較して、インフルエンサーマーケティングは非常に多くの人的リソースが必要となっています。AI活用が進むことで、工数の削減はもちろん、ブランドがインフルエンサーマーケティングを簡単に実施できるようになるかもしれません。

6. さまざまなプラットフォームやコンテンツ形式

現在、インフルエンサーの活躍の場がさまざまな形で広がっています。ソーシャルメディアだけではなく、ポッドキャストやライブストリーミング、新プラットフォームなど多様化を続けています。そのためブランドは、ソーシャルメディアを超えたコンテンツ戦略が必要となってきており、この流れは加速するだろうと予想されます。


すでに日本でもインフルエンサーがソーシャルメディアを超えて活躍している事例は増えています、2023年にGoogle Pixelは、にじさんじの叶・葛葉の人気ユニット「ChroNoiR」を起用し、YouTube動画だけではなく、TVCMやクロス新宿ビジョンで3D広告を放映するなど大きなプロモーションを行いました。

プロモーションのみではなく、商品コラボも活発に行われています。
「エクセル(EXCEL)」は、メイクアップクリエイターのギュテとコラボレーションし、定番商品の限定カラー発売、ブランドとして初のクリエイターコラボとなります。11月にはファンイベントも開催される予定となっています。

7. インタラクティブコンテンツからの購入

SNSプラットフォームは、Eコマース機能のリリースやテストを積極的に行っています。日本でも、ShopifyやBASEなどのECサービスとの連携はすでに実現されていますが、SNS内で決済まで完了するような仕組みが今後増えてくるでしょう。

すでに中国や米国ではTikTokショップがリリースされており、近い将来日本でも利用できるのではないかと言われています。TikTokショップのようなSNSアプリ内にEC機能が追加されれば、ライブコマースの発展やこれまで計測が困難だったインフルエンサーマーケティングでもダイレクト広告としてのマーケティングを行うなど、SNSマーケティングの手法が広がるでしょう。

まとめ

SNSマーケティングを行ううえでインフルエンサーマーケティングが不可欠となったいま、2025年は、さらにインフルエンサーマーケティングへ投資する企業が増加し、パートナーシップやアンバサダー契約を行い活躍するインフルエンサーが増えると予想されます。

トレンドをおさえることはもちろん必要ですが、結局は自社のマーケティング施策に見合う企画とインフルエンサーを起用することがもっとも重要です。 

THECOOでは、インフルエンサーマーケティングの代理店として、様々な業界企業様の支援を行っています。ご相談のみでも可能ですので、お気軽にご連絡ください。

その他参考:
Influencer Marketing in 2025: Trends and Innovations
5 TRENDS DRIVING INFLUENCER MARKETING IN 2025
The essential influencer marketing trends for 2025

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