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多様化する「インフルエンサー×コスメ」と事例
INDEX
インフルエンサーが選ばれる理由
インフルエンサーとコスメの共創が一般化している現在ですが、何故これ程多くの共創型コスメが作られているのでしょうか。その背景には、Z世代の情報源となっているインフルエンサーの強い影響力が関係していると考えられます。インフルエンサーがZ世代にどのような影響を与えているのかを元に、単なるPRだけでなく、インフルエンサーとの「共創型」コスメが消費者に求められる理由と、そのメリットや注意点について紹介していきます。
有名人起用の効果
テレビCMや広告でタレントを起用し販促を行うマーケティングは、「ハロー効果」を利用しています。「ハロー効果」は「人物や物事を評価するとき、目立ってすぐれた、あるいは劣った特徴があると、その人物や物事のすべてをすぐれている、あるいは劣っている、とみなす傾向」(引用:デジタル大辞泉)です。別名は後光効果や光背効果ともいいます。商品の広告のために有名人を起用すると、この効果により、その有名人のイメージで商品が見られるのです。
「参考にしやすい」インフルエンサー
テレビCMや広告で起用される人物はタレントがほとんどを占めていましたが、昨今、インフルエンサーが自身のSNS内でPRをしている姿を目にする機会が多いでしょう。以下の表から、Z世代の購買行動にインフルエンサーがどのような影響を与えるのかについて見ていきます。


出典:タレント VS インフルエンサー、影響力が強いのは?Z世代&ミレニアル世代の“影響度”に関する意識調査を実施 (Research Article Z世代のリアルな声/僕と私と株式会社)
この表から、「会員制サービス」「医薬品」はタレントの影響を受けている割合が高かったものの、それ以外、「コスメ」、「ファッションアイテム」、「飲食店」、「雑貨・インテリア」はインフルエンサーの影響を受ける人が特に多いことが分かります。実用的選択肢が少ない「医薬品」「会員制サービス」に対し、インフルエンサーが参考にされやすい対象は比較・検討が必要なものであると推測できます。Z世代の消費者は、対象に応じて情報源を使い分ける事で、効率的な情報収集を行っていると考えられます。このようなタレントとインフルエンサーの印象の違い、立場の違いが、参考にする情報源の違いに作用していると言えるでしょう。
また、特定のタレントが「商品の顔」となる従来の広告と比べ、インフルエンサーによるPRは、インフルエンサー自身の言葉での商品の推薦が可能です。同じ悩みを抱えたフォロワーが多くいるインフルエンサーであれば、悩みの解決となる商品のPRを直接行うことができます。以上から、インフルエンサーは、タレントよりも消費者と近い立場で、直接商品のPRができる点から、次世代の広告塔となっていると言えます。
増加するインフルエンサーの影響
上記よりインフルエンサーを起用した広告は需要があることがわかりますが、以下の表「国内インフルエンサーマーケティングの市場規模推計・予測2022-2029」からもその需要の高まりが見られます。

出典:【市場動向調査】2024年のインフルエンサーマーケティング市場は860億円、前年比116%の見通し2029年には2024年比約1.9倍、1,645億円に(株式会社サイバー・バズ/デジタルインファクト)
2022年には615億だった市場規模は2024年には860億になっています。2029年の市場規模は1,645億と予測され、2022年の2,5倍まで上がる可能性があることが分かります。この市場規模拡大からは、インフルエンサーが年々高い影響力を持つ存在となっていること、影響は広がり続ける可能性が高いことがわかります。
市場規模が広がる程、インフルエンサーの影響力も大きくなると考えられます。インフルエンサーの「参考にしやすい」という特徴を掴んだ商品で、高い効果が見込まれるものが「共創型コスメ」です。依頼するインフルエンサーの動画で取り上げられる特定の悩みやニーズに応えることを目的とする商品を作ることができれば、ターゲット層との関連性が高い商品を作る事ができる可能性が高いです。本人とPRを行う商品との関連性の高さはそのPRの内容をより盛り上げ、販促につながります。
インフルエンサーマーケティングの市場規模増加に伴う共創型コスメのニーズ拡大
共創型コスメとは
共創型コスメとは、インフルエンサーと企業が双方の名前を出しながら作り上げていくコスメを指します。共創型コスメの中には「プロデュースコスメ」「タイアップ型コスメ」等種類が様々あり、それぞれで企業とインフルエンサーの商品に対する関与の高さやブランド名が違います。以下がタイアップとプロデュースの大まかな特徴です。

プロデュースコスメはインフルエンサー中心、タイアップ型コスメは企業中心であり、商品への関わり方、商品の値段設定も違います。タイアップは宣伝を行ってもらうことを指すため、共創型コスメやプロデュースコスメのようにコスメの制作には携わっていません。共創型コスメは化粧品ブランドとインフルエンサー双方で成り立つため、起用するインフルエンサーとの意思疎通や費用の調整も重要な部分です。
次に、インフルエンサーの共創型コスメの事例について紹介していきます。
インフルエンサー×コスメの事例
- 「会社員J(Aちゃん)」×「VDL」
美容系Youtuberである「会社員J(Aちゃん)」と韓国コスメの「VDL」のコラボ「VDL パーフェクティング シルキーフィット カバー クッション ファンデーション」です。

出典:K-Beauty『VDL』と美容系YouTuber『会社員J(Aちゃん)』がコラボ 日本人フォロワーの『欲しい』から生まれたベースメイク登場(エフエムジー & ミッション株式会社/PRTIMES)
会社員Jさんが実際に日本人にインタビューをして作られた製品で、日本の多湿な環境に合わせたクッションファンデーションです。韓国向け、日本向けとで動画配信をしている会社員Jさんだからこその「日本の環境に合わせたファンデーションを作る」という考えにより制作されたコスメです。(2023年9月1日(金)に発売)
- 「マリリン(福世優里さん)」×「vim BEAUTY」(株式会社Direct Tech)
Youtube登録者数120万人超えのマリリンさんと株式会社Direct Techが共同プロデュースを行っているコスメである「vim BEAUTY」。

出典:〈初回生産分10,000個即日完売〉vim独自開発のファンデーション2in1キットが待望の9月13日(金)より全国のロフト/PLAZA/@コスメTOKYO・OSAKA にて店頭発売開始(株式会社Direct Tech/PRTIMES)
コンシーラーとファンデーションが同一パッケージに入っており、商品一つで肌のメイクが出来るというものです。2022年から販売を開始した「vim BEAUTY」では、『LDK the Beauty24年1月号』で「崩れないファンデ部門」コスメオブザイヤー2023を受賞している点や、上記のファンデーションの即日完売からも様々なコスメを使用しメイク動画をあげているマリリンさんが作る商品ならではの品質や機能性の高さが伺えます。
- 「高校生インフルエンサー」×「TIRTIR」
日本テレビ系列バラエティ「超無敵クラス」での企画で行われた、Z世代の高校生インフルエンサーとコスメブランド「TIRTIR」との共創型でのコラボです。

出典:【超無敵クラス×TIRTIR】Z世代と共同開発!数量限定コラボ商品が3月2日(日)より発売(株式会社D&ACE/PRTIMES)
インフルエンサーとコスメのコラボだけでなく、インフルエンサー×コスメ×テレビ番組のコラボです。普段インフルエンサーを意図的に見ない消費者にも届く可能性があり、より広い層に販売促進が行える環境でした。すでに高い評価を得ているTIRTIRのリップに加え、高校生の発案によりプランパーとリップを一本にしたり、商品に飾り付けられるシールをつけられたりと高校生のニーズに合わせた商品となっています。
- 「みりん」、「タフ子ちゃん」×「PEACH C」
美容系インフルエンサーである「みりん」さん、「タフ子ちゃん」さんと「みずみずしくて愛らしい桃フェイス」がブランドコンセプトのPEACH Cのコラボです。

「みりんさん」のカラーは「M しあわせまろみピンク」、「タフ子ちゃん」さんのカラーは「T ぷるんとチェリー」です。イメージの違う2名のインフルエンサーを起用することにより、全く異なる色味のリップが制作されました。「M しあわせまろみピンク」はみりんさんによるイラストになっていて、パッケージまで共創型コスメの特徴が出ている商品です。(2025年4月25日発売)
このように多様な方向から行われる共創コスメでは、インフルエンサーならではの「独自性」を表しています。では、コラボのメリットや注意点は何でしょうか。次に、メリットと注意点について説明します。
共創型コスメを作るメリット
共創型コスメを作るメリットとして、以下のことが挙げられます。
①視聴者の求めている商品を直接提供可能
コラボするインフルエンサーと親和性の高い商品を作った場合、購入する可能性のある人にすぐに届く点です。例として、メイク動画であれば、一重から二重にするため、人中短縮のための化粧品等、インフルエンサーが特徴的に発信している内容に合わせた商品は、視聴者が求めている物である事が予測されます。
②製作者の言葉で商品を伝えられる
コスメを作る会議や試作紹介などの経過を動画にすることで、インフルエンサーの思い、工夫が直接視聴者に届きます。視聴者にはインフルエンサーのコスメ制作を通して商品に対し興味を持ってもらうことができます。
③知名度により大きな販売促進効果が得られる
インフルエンサーのネームバリューにより、信頼を得やすくなります。知っている人が関わっているという安心感から、販売促進に直結する可能性があります。
④長期間の販売促進が可能
コスメの販促を行う期間に制限がないため、商品発売後も継続的に紹介することが出来ます。使用しているところを動画で見せることで、一時的ではなく何度も販売促進ができることは強みです。
以上から、インフルエンサーとのコラボ商品の利点は、インフルエンサーの知名度、親和性、予想される視聴者の類似している点を利用して必要なコスメを直接届けられる点です。
共創型コスメを作る注意点
①起用するインフルエンサーの信頼度
タレントとも共通していますが、共創を行っているインフルエンサーが社会的信用を失った際には、インフルエンサー当人だけでなく企業側も損失を被る可能性が高いです。
②知名度によって売上が左右される
共創型コスメの顔は化粧品ブランドとインフルエンサーです。特にプロデュースコスメの場合、インフルエンサーのネームバリューによりコスメの販促の効果が大幅に異なる可能性が高いです。
③インフルエンサーと企業との意見のすり合わせ
特に企業とインフルエンサーで共同で行う部分が多い共創型コスメでは、値段、品質、成分等双方のブランディングを守りつつ行う必要があるため、多くの時間や費用がかかる可能性があります。
まとめ
以上のように、インフルエンサーマーケティングは市場拡大が続いています。その中でもインフルエンサーとの共創型コスメは、化粧品ブランドとインフルエンサーの独自性を利用して、視聴者のニーズに合わせた商品を届けることができます。共創型コスメは視聴者との’’直接’’的な関わりが強く、視聴者の信頼感を得ているインフルエンサーこそ販売できるコスメでしょう。
参考文献
・「インフルエンサーによるメッセージ戦略と広告効果の測定 : タイ人消費者の化粧品の購買行動から」(2021,山本晶 慶應義塾大学大学院経営管理研究科)
関連記事
・「タレント VS インフルエンサー、影響力が強いのは?Z世代&ミレニアル世代の“影響度”に関する意識調査を実施」(Resarch Article/僕と私と株式会社)
(https://boku-to-watashi-and.com/z-category1_detail/zview-article021)
・インフルエンサーとは?意味・注目の理由・メリット・マーケティング手法(訪日ラボ編集部)
https://honichi.com/news/2019/03/12/influencersmarketing/?utm_source=chatgpt.com
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