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日本と韓国コスメに見るSNSマーケティングとリアルイベントの戦略比較
INDEX
※本記事は、2025年5月28日(水)に開催した「THECOO・DINETTE共催セミナー:日韓コスメの違いから学ぶ!それぞれの"SNSメディアとインフルエンサー"活用法を徹底解剖!」の要約記事になります。
なぜ今、「日韓コスメマーケティングの違い」を考えるのか?
近年、グローバル市場におけるK-Beautyの存在感が高まる一方で、日本コスメも顧客との信頼構築やファンベースマーケティングを行っています。SNSやインバウンドの影響で、日韓のコスメが互いの市場に浸透する今、企業にとって「両国のマーケティング戦略の違い」を理解し、自社のマーケティング戦略に活かすことが必要です。
2025年に開催されたウェビナー「THECOO・DINETTE共催セミナー:日韓コスメの違いから学ぶ!それぞれの"SNSメディアとインフルエンサー"活用法を徹底解剖!」では、両国のリアルイベント活用やSNS施策の違いを対談形式で解説しました。本記事では、その内容をもとに、日韓マーケティング戦略の違いを詳しく読み解いていきます。
1. トレンドスピードと商品展開:韓国は「即応型」、日本は「慎重型」
韓国のコスメ業界は、「企画〜発売」までのスピードが極めて早く、メディアへの情報公開からわずか1ヶ月で発売されるケースも見られます。
これはOEM・ODMの体制の強さが影響していると言えます。韓国国内に自社工場や提携工場を抱えており、製造リードタイムを短縮できる構造的強みや、国外への輸出体制が整っており、ノウハウも多く持っています。
◆ 具体例
- Anua(アヌア)
- NUMBUZIN(ナンバーズイン)
- SKIN1004(スキン1004)
これらのブランドは、多くのSKU(品番)を抱えており、SNSでは「商品比較」や「ランキング投稿」などUGCが自然と増えやすい構造になっています。
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一方、日本のブランドは「品質・安全性・ブランドイメージの担保」を重視し、発売までに3〜4ヶ月のリードタイムを設けるのが一般的です。これは「一貫性」や「信頼」を軸とした長期視点のマーケティングが得意な分野とも言えます。
2. 購買トレンドの違い:韓国は「定番重視」、日本は「流行志向」
韓国の消費者は「成分」「刺激の少なさ」「肌への優しさ」といった実用性と安全性を重視し、気に入った商品を長く使う傾向があります。
一方、日本では「限定品」や「バズ商品」など、トレンドに敏感な動きが見られます。特にSNSやランキングアプリに影響される形で、アイテムの入れ替わりが早く、「今、話題のコスメ」への関心が高まっています。
いずれも消費者のレビュー文化が根付いていますが、韓国は日本以上に「低刺激・成分重視・安定性」を評価基準としている傾向にあります。
この違いから、
- 韓国:ロングセラーを意識した継続的コミュニケーション
- 日本:短期集中での話題化・バズ設計
がそれぞれ効果的といえます。
3. インバウンドと越境EC:日本コスメが韓国でも人気の理由
日本のプチプラブランドは、韓国でも高い人気を誇ります。オリーブヤング(韓国の大手コスメセレクトショップ)でも日本ブランドの取り扱いが広がり、アイドルやKOLの影響でSNS投稿も多く見られます。
加えて、インバウンド需要も影響しています。
例えば、「日本旅行中に買うべきコスメ一覧」がSNSで拡散されるなど、リアル店舗での戦略もSNSと連動しています。
マーケティング担当者にとっては、国内施策と越境ECの両輪で設計する視点が今後ますます重要になると予想されます。
4. ポップアップイベント戦略:韓国は「映え体験」、日本は「実利体験」
コスメや美容系のリアルイベントと言えば、ポップアップショップやフラッグシップストアが中心です。この2〜3年で、多くのポップアップ開催が行われるようになりました。しかしここでも、日韓で目的の違いが見られます。
韓国のポップアップ施策
韓国ではポップアップを「ブランド体験の場」として世界観を体感してもらう手法が主流です。
◆ 具体例
- rom&nd(ロムアンド):チャームケースプレゼント&セルフデコ体験
- AMUSE(アミューズ):カプセル型ガチャ体験
- dasique(デイジーク):キーホルダー制作体験ブース
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これらのイベントでは、来場者が「SNSに投稿したくなる」仕掛けが豊富で、自然なUGC発生に繋がっています。
イベントに招待するインフルエンサーの起用方法も異なります。韓国ではブランドとの親和性が高いインフルエンサーに限定し、世界観を壊さない点やインフルエンサーとのリレーションシップを深めるアプローチを行っています。
日本のポップアップ施策
一方日本では、商品のテストマーケティングや理解促進を目的とする形式が多く、サンプル配布や商品説明に重きが置かれている傾向が強いです。
また、インフルエンサーの起用方法も異なり、ナノ〜マイクロインフルエンサーまで広く招待することで、認知拡大を図る戦略が主流です。
5. SNSマーケティング運用の違い
SNSマーケティングにおいてもいくつか違いが見られます。
SNS・インフルエンサーマーケティング投稿
- 日本:商品の効果・使い心地・成分など、1つの商品にフォーカスした“単品訴求型”の投稿が多い傾向にあります。背景に、前段で解説した商品販売までのスピード感や薬機法の違いもあり、記載内容に慎重さが求められます。
- インフルエンサーとのタイアップ投稿においても、インフルエンサーの親和性を重視し、1つの商品や成分など訴求を重点的に依頼した内容が多いです。
- 韓国:「まとめ投稿」や「比較コンテンツ」など、ビジュアル&情報量重視の投稿スタイルが多い傾向です。新商品販売までのサイクルが早いため、情報発信もスピード感があります。
- インフルエンサーについては日本と逆で、ブランド認知を高める目的の起用がよく見られます。
例えば、Before/After比較などインスタユーザーに受けが良いクリエイティブだったり、インフルエンサーの特性を活かすためにクリエイティブ内容の指示は少ないケースが多いです。起用するインフルエンサーについても、エンタメ系TikTokerやメンズ系インフルエンサーなど、一見ブランドと親和性が薄そうなインフルエンサーも起用し、多角的に認知を広げる戦略が取られています。
- インフルエンサーについては日本と逆で、ブランド認知を高める目的の起用がよく見られます。
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他メディアの活用状況
- 日本:TVCM、雑誌などのマスメディアとの併用が多く、メディア制作にも時間とコストをかける。
- 韓国:SNS・WEBが中心。スピーディで柔軟な表現が可能であり、Z世代との親和性が高い設計。
ギフティング施策:量 vs 質の違い
インフルエンサーマーケティングの施策の中でも、美容やコスメ業界では「ギフティング」と呼ばれるプロモーション方法が一般的です。その起用方法にも違いが見られます。
- 日本:ホリデーギフトなど、販売予定の商品を先行で提供することが多く、実使用を通じた商品認知や購入狙いのケースが多いです。また、ブランドに寄り添ったクオリティの高いクリエイティブ投稿をしてくれたインフルエンサーに対して、その後タイアップ投稿を依頼したりと、関係値構築としても活用されています。
- 韓国:撮影映えするギフトボックス、開封体験を重視した構成が多く、“投稿したくなる仕掛け”にフォーカスしています。中にはインフルエンサー専用の限定パッケージを制作する例もあります。
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重視しているKPIも異なり、
- 日本:エンゲージメント率重視
- 韓国:投稿率重視
という傾向があります。
まとめ:自社ブランドに合った“日韓式”を柔軟に活用
韓国のコスメマーケティングは、「スピード」「体験」「SNS映え」に優れており、S拡散性と共感性に特化しています。
一方で日本は、「品質」「誠実な情報提供」「ファンとの長期関係」に強みがあり、堅実で信頼性の高いブランディングが得意と言えます。
いずれも異なる強みを持つため、マーケティング施策の設計においては、ターゲット層・ブランド特性・商材特徴に応じて使い分ける柔軟な視点が重要です。
美容・コスメ業界では、ビジュアルと共感が鍵を握ります。リアルとデジタルを横断し、日韓の知見をハイブリッドに活かしていくことが、ブランドの持続的成長に繋がるのではないでしょうか。
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