目次

インフルエンサーによるPR投稿は日常的に

2010年代前半頃から日本でもインフルエンサーマーケティングが行われ始め、およそ10年たった2023年のインフルエンサーマーケティング市場は741億円*にものぼる見通しです。
出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ

また2023年6月に弊社でPR投稿に関する調査をしたところ、「過去1年間でどのくらいの頻度で、インフルエンサーや芸能人、まとめアカウントによるPR投稿を目にしましたか」という質問に対し、「ほぼ毎日」「週に2〜3回程度」「週に1回程度」と回答した人は65%にものぼり、SNSを利用する消費者にとって日常的にPR投稿に触れていると言えます。

出典:インフルエンサーのPR投稿を通じた影響力調査

これらの数字だけみても、インフルエンサーマーケティングを実施している競合他社がすでに多く存在していたり、これからさまざまな業界業種の参入が多くなることが予想されます。ただインフルエンサーマーケティングを実施するだけでは、競合との差別化を図れなくなっており、SNS全体でのマーケティング戦略が求められています。

今回は企業やブランドのマーケティング担当者が、比較的かんたんに実行できるSNSマーケティング戦略の一部をご紹介します。

もっと知りたい

調査結果について詳しく知りたい

インフルエンサーのPR投稿を通じた影響力調査

インフルエンサー投稿の二次利用とは

二次利用とは、文章や写真をそのまま転載、引用し、他の媒体やメディアなどで再利用することです。インフルエンサーマーケティングにおいては、インフルエンサーが投稿したクリエイティブを、SNS広告やデジタル広告、自社サイトや店頭サイネージなどで再利用する方法がよく見られます。特にSNS広告での二次利用は、比較的ハードルも低く、従来のSNS広告と合わせて実施することもできるためおすすめです。

二次利用のメリット

1. “質”がよいクリエイティブ

1点目は、SNSと投稿クリエイティブの相性が非常によいことです。もともとSNSで活躍するインフルエンサーが作成するため、SNSの特徴やファンが喜ぶ内容を抑えています。CMやイメージビデオのような洗練されたものではなく、一般消費者の投稿に近いクリエイティブとなることで、そのSNSにとって仕様が良い=質が高いクリエイティブが生まれます。

そういったクリエイティブをSNS広告でも二次利用することで、SNS広告のクリック率向上が期待できます。

2. 広告クリエイティブの”量”を確保

広告に必要なクリエイティブフォーマットはSNSごとに異なるうえ、1つのSNSにつき複数のクリエイティブを用意することが推奨されており、すべてのサイズやフォーマットを用意するにはかなりの労力がかかります。

インフルエンサーマーケティングでは、1度の施策で複数名のインフルエンサーを起用したり、SNSによっては複数回投稿をすることもあります。
そのため、インフルエンサーの投稿を活用することでクリエイティブの”量”を確保することも可能です。

3. フォロワー以外のターゲットにもアプローチ

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーのフォロワーや類似フォロワーへ深いリーチができることが特徴です。どれだけ良い投稿だとしても、基本的にリーチ数がフォロワー数を超えることはありません。SNSのレコメンドに掲載されればフォロワー数以上のリーチも可能ですが、レコメンドをコントロールすることは難しいです。

そのため「商材カテゴリやサービスに興味はあるが、起用したインフルエンサーのことを知らない」といったユーザーには、どうしてもリーチが難しくなります。

SNS広告であれば、広告主が指定する細かなターゲットが可能なため、起用インフルエンサーのことを知らないターゲットユーザーにもアプローチすることが可能です。

SNS別インフルエンサー投稿を二次利用する際のポイント

インフルエンサーが投稿したクリエイティブをSNS広告で活用する場合、もっとも手軽な方法は、同じSNSで広告配信をすることです(YouTubeを除く)。
投稿されたクリエイティブを編集することで、他SNSでも活用が可能ですが、SNSごとにいくつか抑えておきたいポイントがあるためご紹介します。

X(Twitter)

X(Twitter)は、投稿可能なフォーマットの種類も多いため、投稿された画像や動画だけを他SNSで活用することも可能です。ただし、テキスト情報があるからこそ1つのクリエイティブとして活きる場合もよくあるため、投稿された画像や動画で消費者に伝わる内容かどうかは確認する必要があります。

もしテキスト情報とあわせた方が良い場合は、X(Twitter)広告で利用する、Instagramのフィード投稿など配信先を限定する、もしくはクリエイティブに編集を加えるなどをした方が良いでしょう。

Instagram

Instagramは、フィード、ストーリー、リール、インスタライブと様々な投稿形式があります。いずれも写真や動画がメインとなっているためイメージを伝えやすく、他SNSでも比較的かんたんに活用ができます。

例えば、リールはTikTokやYouTubeショートと広告フォーマットが類似しており、そのまま活用することができます。またフィードの画像は複数投稿も多いため、1:1の正方形や4:5程度の長方形になります。画面中央に対象が収まっていることが多いので、Twitterなどでも活用しやすくなります。

TikTok

TikTokは縦型動画に特化しているため、InstagramのリールやYouTubeショートと相性が良いといえます。ただし、TikTokで流行しているコンテンツをメインとした内容は、他SNSでは逆に伝わりづらくなってしまう場合もあるので、注意が必要です。

もしTikTokならではのコンテンツで他SNS広告で二次利用をしたい場合は、ターゲティングで若年層を中心にするなどがおすすめです。

YouTube

YouTubeの通常動画は、基本的に1本の動画の長さが10分以上であることが多く、長尺動画と呼ばれます。インフルエンサーのタイアップ投稿としては、伝えたい内容をしっかりと伝えられることがメリットですが、そのままSNS広告クリエイティブとして利用することは難しく、ほとんどの場合再編集を行います。

理由として、さまざまなSNSの動画広告は短尺を推奨しているためです。YouTubeでも6秒広告のバンパーであったり、5秒で消費者がスキップするかどうかを選べるインストリーム広告(スキップ可能なインストリーム広告)は3分未満が推奨されています。

元々長尺であったものを短尺にするには、動画の編集技術が必要です。さらに、どのカットを採用すれば違和感がない流れとなり、かつ数秒で消費者の興味関心をひけるか、といった構成技術も求められます。そのため、YouTubeのタイアップ投稿をSNS広告で利用したい場合は、再編集まで実施してもらえるのか、または編集は自社で行う必要があるのか予め確認しておくことをおすすめいたします。

まとめ

インフルエンサーマーケティングが企業にとっても消費者にとっても日常的となってきたいま、SNS全体でマーケティング戦略が求められています。インフルエンサーによっては投稿の再編集はNGであったり、そもそも二次利用自体を受け付けていない場合もあるため、事前に確認をしておきましょう。

二次利用を活用して、インフルエンサーマーケティングの効果最大の一助となれば幸いです。

もっと知りたい