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デジタルで集客を行い、ビジネスを展開する企業にとって、SNS広告の活用は必須になってきました。近年は各SNSの広告機能が充実し、インフルエンサーを活用した素材を作り、通常の投稿に馴染む自然な広告クリエイティブが高いパフォーマンスを残すことが増えてきました。

そんな中、よりインフルエンサーの影響力・SNSらしい投稿を活かした広告手法として、インフルエンサーの投稿をそのまま広告として配信できる「第三者配信」が各SNSの機能として搭載されるようになっています。この記事では、第三者配信について、そのメリットや出稿方法について紹介します。

SNS広告における第三者配信とは

デジタル広告における第三者配信は3PAS(3rd Party Ad Serving)とも言われ、直接GoogleやYahoo!などの広告媒体に直接出稿するのではなく、第三者のサーバーを介して出稿をコントロールするものを指していました。

近年、広告用語としての第三者配信はSNS広告の広告メニューを指すことが多くなってきました。これは、広告主のSNSアカウントとは別の、インフルエンサーなどのアカウントによる投稿を広告主が代わりに広告として配信するものを指します。

SNSごとに第三者配信広告の表示のされ方や仕様が異なりますが、インフルエンサーのアカウントによる投稿に、広告表示やCTAリンクなどが追加されるのが一般的です。

タイアップ投稿との違い

インフルエンサーマーケティングで一般的に行われている「タイアップ投稿」は、インフルエンサーに金銭や商品を提供し、その対価としてインフルエンサーのアカウントで投稿を行ってもらいます。そのため、タイアップ投稿そのものはあくまで通常の投稿であり、リーチはインフルエンサーのフォロワーを中心に、各SNSのアルゴリズムで拡散される範囲にとどまります。

また、タイアップ投稿はインフルエンサーのアカウントからの情報発信であるがゆえに、インフルエンサーからのデータ共有がなければ、広告主側では投稿のアナリティクスを確認できません。

一方で、第三者配信では、インフルエンサーなどのタイアップ投稿をそのまま広告に転用し、SNSのオーディエンスデータに基づく広告配信を行えます。そのため、通常の広告と同じように広告運用による成果を追求できます。

第三者配信を実施できるSNS

広告のメニューは各SNSによってさまざまです。第三者配信を実施できるSNSはInstagram、TikTok、X(旧Twitter)の3つです。

SNS 名前
Instagram パートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)
TikTok Spark Ads
X(旧Twitter) 第三者ポスト配信

SNS名前Instagramパートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)TikTokSpark AdsX(旧Twitter)第三者ポスト配信(旧:第三者ツイート配信)

SNS広告における第三者配信のメリット

広告主のSNSアカウントによる広告配信ではなく、インフルエンサーなどのアカウントを通じた広告の第三者配信のメリットは一体どのようなものがあるのでしょうか。

インフルエンサーの影響力を活かせる

第一に、インフルエンサーなどSNSで影響力のある人や、人気のある投稿をそのまま活かすことができます。特に、知名度の高いインフルエンサーによる第三者配信では「フォローしていないが名前は知っている」ユーザーも投稿を目にして、好意的な反応をもたらすことが想定されます。

また、多くのSNSでは通常投稿のエンゲージメント情報がそのまま転用されるため、既に一定のエンゲージメントが得られているものを広告で配信することで、広告でありながら信頼感のある投稿の裏付けにもなります。

成果の高い通常投稿をすぐに広告に転用できる

InstagramやTikTokでは第三者配信の設定手順の簡素化が進んでおり、インフルエンサーが自身の投稿を第三者配信にすぐ切り替えられるようになっています。そのため、インフルエンサーが第三者配信を許諾しているのであれば、通常投稿のインサイトを見ながら、エンゲージメントの高い投稿をすぐに広告に切り替え、CTAを表示させることで、さらに大きな成果を目指すことができます。

このメリットにより、例えば大人数が一斉に投稿する大規模なインフルエンサーキャンペーンやギフティング施策では、各インフルエンサーの投稿のエンゲージメントや投稿の内容の良さを比較しながら、迅速に広告のパフォーマンスを高める取り組みが行えます。

広告色を薄めながら広告配信できる

第三者配信では「広告」が明記されますが、基本的には通常の投稿を広告に利用するため、クリエイティブの雰囲気も含めて「SNSの投稿に馴染む」のが特徴であり、そのため広告色の薄い、自然な投稿としての印象が強くなります。目的次第ではあるものの、各SNSプラットフォームでも第三者配信を行うパフォーマンス向上のメリットがあると記載されています。

MetaはInstagramにおける第三者配信、パートナーシップ広告による効果を紹介しており、通常の広告とパートナーシップ広告を組み合わせることでCTRは53%高まり、目標アクションあたりの広告費用が19%低下することを明らかにしています。

また、Bytedanceによると、TikTokの第三者配信であるSpark Adsでは、通常投稿に近いスタイルで広告配信できることからインフィード広告と比較して視聴完了率やエンゲージメント、CVRに良い影響を与えることをデータで紹介しており、その中でもエンゲージメントについてはインフィード広告よりも実に143%高い効果をもたらすと述べています。

クリエイティブ制作の工数を減らせる

クオリティの高い動画広告を制作するためには、予算も工数も必要になりますが、一方でデジタル広告のパフォーマンスを維持するためには常にクリエイティブを替え続ける必要があり、マーケターの頭を悩ませる要因の1つになります。

インフルエンサーマーケティングを行っている企業では、タイアップ投稿を行い、その投稿素材をそのまま広告素材として二次利用できれば工数を減らしながらパフォーマンスを高めることにつなげやすくなります。

第三者配信広告の仕様

第三者配信の広告の仕様は通常のインフィード広告などとは少し異なる場合があります。大きな影響を与えるものは少ないと推測されますが、違いを理解いただければと思い紹介します。

Instagram:パートナーシップ広告

Instagramの第三者配信は2023年の7月から「パートナーシップ広告」と呼ばれます。いくつかの種類がありますが、第三者配信として使用するのは「ブランドコンテンツ」に設定した投稿です。

出典:Meta

ブランドコンテンツのパートナーシップ広告は、以下の3つがあります。

  • フィード広告
  • リール広告
  • ストーリー広告

広告の種類によって、それぞれ仕様が異なりますが、全てCTAの設定が可能です。

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TikTok:Spark Ads

TikTokの第三者配信機能には「Spak Ads」という名称がついています。通常のインフィード広告との違いがいくつかあります。(2023年9月時点)

画面上の挙動

Bytedanceからは、Spark Adsでの各要素のアクションが公開されています。

  • CTAボタン、投稿キャプションをクリックするとランディングページに遷移
  • 左スワイプ、ならびにプロフィール画像・アカウント名をタップするとアカウントページに遷移しつつ、ランディングページがホバーで表示される
  • 楽曲・歌手名・ディスクアイコンをタップすると音楽ページに遷移
出典:Bytedance

取得できる指標

取得できる指標は、画面の挙動が異なることから、Spark Adsの方が多くなっています。

Spark Ads以外の広告 Spark Ads
有料クリック数
有料いいね数
有料シェア数
有料コメント数
有料クリック数
音楽クリック数
有料いいね数
有料シェア数
有料フォロワー数
有料プロフィール訪問数
有料コメント数
アンカークリック数
アンカークリック率

参考:Bytedance

X(旧Twitter):第三者ポスト配信

X(旧Twitter)でも第三者配信を行うことができます。XではInstagramやTikTokのように自分では第三者配信の設定を行うことができません。Xで第三者ポストを広告配信したい場合には、第三者からポスト利用の許諾を得た旨についてX側の担当者へメールで報告する手続きが必要です。

その際、以下の情報を記載します。

  • 広告主の広告アカウント番号
  • 第三者(インフルエンサー)のアカウント
  • キャンペーン実施期間

このように、Xの第三者配信の手続きは広告マネージャー上では完結せず、申請と承認のフローが挟まります。そのため、認定代理店経由で行う方がスムーズなため、Xで第三者配信を行いたい場合にはデジタル広告代理店に相談することをおすすめします。

第三者配信の出稿方法

第三者配信では、インフルエンサー側のアカウントでも投稿の広告利用の許諾を行ってもらう必要があり、通常の広告配信と比べると手間がかかります。出稿までの流れを簡単に紹介します。

Instagram:パートナーシップ広告

  1. 広告主、インフルエンサーの両方のアカウントのプロアカウントへの切り替え
  2. ビジネスパートナーの承認
  3. 投稿のブランドコンテンツの設定(インフルエンサー側)
  4. Meta広告マネージャーで広告出稿設定

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TikTok:Spark Ads

  1. インフルエンサーのアカウントで広告設定を許可
  2. 広告コードの生成(インフルエンサー側)
    1. 広告コードの承諾期間が選択できます。承諾期間内のみ広告配信が可能となります。
  3. TikTok広告マネージャーで広告コードを入力し、アセットを追加
  4. TikTok広告マネージャーで広告出稿設定

SNS広告の第三者配信に関する注意点

インフルエンサーの投稿を活用する第三者配信は、タイアップ投稿であったとしてもインフルエンサーのアカウントになんらかの影響を与えます。コメントなど広告への反応に対する対応や、契約条件などを双方で合意しておくこと、また、通常の投稿と広告ではガイドラインが異なることもあり、広告素材として使用して問題ない内容になっているかなど、いくつか注意しておきたいことがあります。ここでいくつか紹介します。

第三者配信実施の際の確認事項

  1. 第三者配信の配信期間
  2. 広告利用にあたって投稿の修正・再編集の有無
  3. コメントへの対応方針
  4. 投稿素材の広告ガイドラインの遵守

それぞれの事項について、以下でもう少し細かく紹介します。

配信期間や再編集などの条件確認

第三者配信によって、インフルエンサーのファンではない人にリーチできるということは、インフルエンサーにとってはメリットにもデメリットにもなり得ます。インフルエンサーが新たなファンを獲得することにもつながる可能性がありますが、場合によっては広告として起用したことでマイナスのイメージがつくこともあります。

そのため、インフルエンサーによっては非常に第三者配信への利用に慎重な方もいますし、インフルエンサーのタイアップ投稿と同様に、条件をしっかりと定めている方もいます。そのため、配信期間の条件や、タイアップ投稿を広告用に再編集する必要があるかどうかなどを確認することで、契約的にも、インフルエンサーの心理的にも、安心して広告配信できるように準備しておくことが望ましいです。

コメントなどへの対応

第三者配信は通常投稿に紐づくため、コメントの管理はインフルエンサーに任されてしまいます。商品やブランドに対するネガティブなコメントや、それ以外の危険なコメントなどの対応をどのように行うかは事前に確認しておきましょう。

例えば、日次でコメントを確認し、削除を依頼したいものをまとめて共有するなどの対応ができれば、インフルエンサーにとっても負担が少なく済むでしょう。

投稿ガイドラインと広告ガイドラインの両方を満たすことの確認

広告配信の際には、クリエイティブに対して媒体から事前の審査が入ります。通常の広告クリエイティブであれば制作会社などが細かなチェックを行った上で入稿することがほとんどのため、審査落ちをすることが少なかったり、審査落ちしたとしても修正まで対応してもらえたりすることが一般的でしょう。

一方、インフルエンサーのタイアップ投稿の場合、投稿した時点で再修正は基本的には行えません。さらに、通常の投稿としては問題なく拡散されていても、広告の審査に落ちてしまうこともあります。こうなると、インフルエンサーに追加費用を払って修正をしてもらうか、そもそもカットの再撮影ができず、広告には使えないという事態も考えられます。

そのため、基本的にはタイアップ投稿の時点から広告配信を行うことを念頭に、例えば紹介する商品・サービス以外の商品の映り込みを避けたり、不適切な表現がないことの確認を徹底するなど、クリエイティブチェックの体制を整えておくことをおすすめします。

第三者配信を使った事例

最後に、第三者配信を活用して成果につながったプロモーション事例をご紹介します。

第三者配信広告を前提としたインフルエンサー投稿

クリエイター向けPCソフトウェア

実施目的 :SNS上での商品露出とエンゲージメント獲得
実施時期 :新機能公開タイミング毎
ターゲット層 :潜在ユーザー
起用インフルエンサー人数 :10名〜20名
使用SNS :Instagram, TikTok

まず起用インフルエンサーに対し「商品理解を深める」「ブランド世界観を正しく伝える」ために、オフラインでセミナーを実施しました。その後、セミナーで学んだ内容を中心に、インフルエンサーにタイアップ投稿動画を作成してもらい投稿。その投稿を活用して、第三者配信をそれぞれのSNSで実施しました。

複数名起用したことで、パフォーマンスの高いインフルエンサー投稿のクリエイティブにより予算投下をすることが可能になり、広告効果の最適化を実施。

得られた効果として、通常のクリエイティブのSNS広告よりもクリック率・視聴完了率・エンゲージメント率・コンバージョン率のいずれも上回る結果となりました。

SNS広告における第三者配信のまとめ

インフルエンサーマーケティングの浸透によって各SNSで推奨され、活用されるようになったSNS広告の第三者配信ですが、大きなメリットがある一方で、配信までの手順が増えたり、インフルエンサーとの調整が必要になったりすることもあります。

インフルエンサーの影響力をブランドのプロモーションに転換し、タイアップ投稿やインフィード広告などとの相乗効果も見込めるので、SNSマーケティングの一環としてぜひ取り組んでみたいものですが、スムーズに進行できるように配信までの手順を理解して成果を確かなものとしましょう。

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SNS広告における第三者配信とは?インフルエンサーを活用した広告手法と配信メリットについて解説
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SNS広告における第三者配信とは?インフルエンサーを活用した広告手法と配信メリットについて解説

INDEX

デジタルで集客を行い、ビジネスを展開する企業にとって、SNS広告の活用は必須になってきました。近年は各SNSの広告機能が充実し、インフルエンサーを活用した素材を作り、通常の投稿に馴染む自然な広告クリエイティブが高いパフォーマンスを残すことが増えてきました。

そんな中、よりインフルエンサーの影響力・SNSらしい投稿を活かした広告手法として、インフルエンサーの投稿をそのまま広告として配信できる「第三者配信」が各SNSの機能として搭載されるようになっています。この記事では、第三者配信について、そのメリットや出稿方法について紹介します。

SNS広告における第三者配信とは

デジタル広告における第三者配信は3PAS(3rd Party Ad Serving)とも言われ、直接GoogleやYahoo!などの広告媒体に直接出稿するのではなく、第三者のサーバーを介して出稿をコントロールするものを指していました。

近年、広告用語としての第三者配信はSNS広告の広告メニューを指すことが多くなってきました。これは、広告主のSNSアカウントとは別の、インフルエンサーなどのアカウントによる投稿を広告主が代わりに広告として配信するものを指します。

SNSごとに第三者配信広告の表示のされ方や仕様が異なりますが、インフルエンサーのアカウントによる投稿に、広告表示やCTAリンクなどが追加されるのが一般的です。

タイアップ投稿との違い

インフルエンサーマーケティングで一般的に行われている「タイアップ投稿」は、インフルエンサーに金銭や商品を提供し、その対価としてインフルエンサーのアカウントで投稿を行ってもらいます。そのため、タイアップ投稿そのものはあくまで通常の投稿であり、リーチはインフルエンサーのフォロワーを中心に、各SNSのアルゴリズムで拡散される範囲にとどまります。

また、タイアップ投稿はインフルエンサーのアカウントからの情報発信であるがゆえに、インフルエンサーからのデータ共有がなければ、広告主側では投稿のアナリティクスを確認できません。

一方で、第三者配信では、インフルエンサーなどのタイアップ投稿をそのまま広告に転用し、SNSのオーディエンスデータに基づく広告配信を行えます。そのため、通常の広告と同じように広告運用による成果を追求できます。

第三者配信を実施できるSNS

広告のメニューは各SNSによってさまざまです。第三者配信を実施できるSNSはInstagram、TikTok、X(旧Twitter)の3つです。

SNS 名前
Instagram パートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)
TikTok Spark Ads
X(旧Twitter) 第三者ポスト配信

SNS名前Instagramパートナーシップ広告(旧:ブランドコンテンツ広告)TikTokSpark AdsX(旧Twitter)第三者ポスト配信(旧:第三者ツイート配信)

SNS広告における第三者配信のメリット

広告主のSNSアカウントによる広告配信ではなく、インフルエンサーなどのアカウントを通じた広告の第三者配信のメリットは一体どのようなものがあるのでしょうか。

インフルエンサーの影響力を活かせる

第一に、インフルエンサーなどSNSで影響力のある人や、人気のある投稿をそのまま活かすことができます。特に、知名度の高いインフルエンサーによる第三者配信では「フォローしていないが名前は知っている」ユーザーも投稿を目にして、好意的な反応をもたらすことが想定されます。

また、多くのSNSでは通常投稿のエンゲージメント情報がそのまま転用されるため、既に一定のエンゲージメントが得られているものを広告で配信することで、広告でありながら信頼感のある投稿の裏付けにもなります。

成果の高い通常投稿をすぐに広告に転用できる

InstagramやTikTokでは第三者配信の設定手順の簡素化が進んでおり、インフルエンサーが自身の投稿を第三者配信にすぐ切り替えられるようになっています。そのため、インフルエンサーが第三者配信を許諾しているのであれば、通常投稿のインサイトを見ながら、エンゲージメントの高い投稿をすぐに広告に切り替え、CTAを表示させることで、さらに大きな成果を目指すことができます。

このメリットにより、例えば大人数が一斉に投稿する大規模なインフルエンサーキャンペーンやギフティング施策では、各インフルエンサーの投稿のエンゲージメントや投稿の内容の良さを比較しながら、迅速に広告のパフォーマンスを高める取り組みが行えます。

広告色を薄めながら広告配信できる

第三者配信では「広告」が明記されますが、基本的には通常の投稿を広告に利用するため、クリエイティブの雰囲気も含めて「SNSの投稿に馴染む」のが特徴であり、そのため広告色の薄い、自然な投稿としての印象が強くなります。目的次第ではあるものの、各SNSプラットフォームでも第三者配信を行うパフォーマンス向上のメリットがあると記載されています。

MetaはInstagramにおける第三者配信、パートナーシップ広告による効果を紹介しており、通常の広告とパートナーシップ広告を組み合わせることでCTRは53%高まり、目標アクションあたりの広告費用が19%低下することを明らかにしています。

また、Bytedanceによると、TikTokの第三者配信であるSpark Adsでは、通常投稿に近いスタイルで広告配信できることからインフィード広告と比較して視聴完了率やエンゲージメント、CVRに良い影響を与えることをデータで紹介しており、その中でもエンゲージメントについてはインフィード広告よりも実に143%高い効果をもたらすと述べています。

クリエイティブ制作の工数を減らせる

クオリティの高い動画広告を制作するためには、予算も工数も必要になりますが、一方でデジタル広告のパフォーマンスを維持するためには常にクリエイティブを替え続ける必要があり、マーケターの頭を悩ませる要因の1つになります。

インフルエンサーマーケティングを行っている企業では、タイアップ投稿を行い、その投稿素材をそのまま広告素材として二次利用できれば工数を減らしながらパフォーマンスを高めることにつなげやすくなります。

第三者配信広告の仕様

第三者配信の広告の仕様は通常のインフィード広告などとは少し異なる場合があります。大きな影響を与えるものは少ないと推測されますが、違いを理解いただければと思い紹介します。

Instagram:パートナーシップ広告

Instagramの第三者配信は2023年の7月から「パートナーシップ広告」と呼ばれます。いくつかの種類がありますが、第三者配信として使用するのは「ブランドコンテンツ」に設定した投稿です。

出典:Meta

ブランドコンテンツのパートナーシップ広告は、以下の3つがあります。

  • フィード広告
  • リール広告
  • ストーリー広告

広告の種類によって、それぞれ仕様が異なりますが、全てCTAの設定が可能です。

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TikTok:Spark Ads

TikTokの第三者配信機能には「Spak Ads」という名称がついています。通常のインフィード広告との違いがいくつかあります。(2023年9月時点)

画面上の挙動

Bytedanceからは、Spark Adsでの各要素のアクションが公開されています。

  • CTAボタン、投稿キャプションをクリックするとランディングページに遷移
  • 左スワイプ、ならびにプロフィール画像・アカウント名をタップするとアカウントページに遷移しつつ、ランディングページがホバーで表示される
  • 楽曲・歌手名・ディスクアイコンをタップすると音楽ページに遷移
出典:Bytedance

取得できる指標

取得できる指標は、画面の挙動が異なることから、Spark Adsの方が多くなっています。

Spark Ads以外の広告 Spark Ads
有料クリック数
有料いいね数
有料シェア数
有料コメント数
有料クリック数
音楽クリック数
有料いいね数
有料シェア数
有料フォロワー数
有料プロフィール訪問数
有料コメント数
アンカークリック数
アンカークリック率

参考:Bytedance

X(旧Twitter):第三者ポスト配信

X(旧Twitter)でも第三者配信を行うことができます。XではInstagramやTikTokのように自分では第三者配信の設定を行うことができません。Xで第三者ポストを広告配信したい場合には、第三者からポスト利用の許諾を得た旨についてX側の担当者へメールで報告する手続きが必要です。

その際、以下の情報を記載します。

  • 広告主の広告アカウント番号
  • 第三者(インフルエンサー)のアカウント
  • キャンペーン実施期間

このように、Xの第三者配信の手続きは広告マネージャー上では完結せず、申請と承認のフローが挟まります。そのため、認定代理店経由で行う方がスムーズなため、Xで第三者配信を行いたい場合にはデジタル広告代理店に相談することをおすすめします。

第三者配信の出稿方法

第三者配信では、インフルエンサー側のアカウントでも投稿の広告利用の許諾を行ってもらう必要があり、通常の広告配信と比べると手間がかかります。出稿までの流れを簡単に紹介します。

Instagram:パートナーシップ広告

  1. 広告主、インフルエンサーの両方のアカウントのプロアカウントへの切り替え
  2. ビジネスパートナーの承認
  3. 投稿のブランドコンテンツの設定(インフルエンサー側)
  4. Meta広告マネージャーで広告出稿設定

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TikTok:Spark Ads

  1. インフルエンサーのアカウントで広告設定を許可
  2. 広告コードの生成(インフルエンサー側)
    1. 広告コードの承諾期間が選択できます。承諾期間内のみ広告配信が可能となります。
  3. TikTok広告マネージャーで広告コードを入力し、アセットを追加
  4. TikTok広告マネージャーで広告出稿設定

SNS広告の第三者配信に関する注意点

インフルエンサーの投稿を活用する第三者配信は、タイアップ投稿であったとしてもインフルエンサーのアカウントになんらかの影響を与えます。コメントなど広告への反応に対する対応や、契約条件などを双方で合意しておくこと、また、通常の投稿と広告ではガイドラインが異なることもあり、広告素材として使用して問題ない内容になっているかなど、いくつか注意しておきたいことがあります。ここでいくつか紹介します。

第三者配信実施の際の確認事項

  1. 第三者配信の配信期間
  2. 広告利用にあたって投稿の修正・再編集の有無
  3. コメントへの対応方針
  4. 投稿素材の広告ガイドラインの遵守

それぞれの事項について、以下でもう少し細かく紹介します。

配信期間や再編集などの条件確認

第三者配信によって、インフルエンサーのファンではない人にリーチできるということは、インフルエンサーにとってはメリットにもデメリットにもなり得ます。インフルエンサーが新たなファンを獲得することにもつながる可能性がありますが、場合によっては広告として起用したことでマイナスのイメージがつくこともあります。

そのため、インフルエンサーによっては非常に第三者配信への利用に慎重な方もいますし、インフルエンサーのタイアップ投稿と同様に、条件をしっかりと定めている方もいます。そのため、配信期間の条件や、タイアップ投稿を広告用に再編集する必要があるかどうかなどを確認することで、契約的にも、インフルエンサーの心理的にも、安心して広告配信できるように準備しておくことが望ましいです。

コメントなどへの対応

第三者配信は通常投稿に紐づくため、コメントの管理はインフルエンサーに任されてしまいます。商品やブランドに対するネガティブなコメントや、それ以外の危険なコメントなどの対応をどのように行うかは事前に確認しておきましょう。

例えば、日次でコメントを確認し、削除を依頼したいものをまとめて共有するなどの対応ができれば、インフルエンサーにとっても負担が少なく済むでしょう。

投稿ガイドラインと広告ガイドラインの両方を満たすことの確認

広告配信の際には、クリエイティブに対して媒体から事前の審査が入ります。通常の広告クリエイティブであれば制作会社などが細かなチェックを行った上で入稿することがほとんどのため、審査落ちをすることが少なかったり、審査落ちしたとしても修正まで対応してもらえたりすることが一般的でしょう。

一方、インフルエンサーのタイアップ投稿の場合、投稿した時点で再修正は基本的には行えません。さらに、通常の投稿としては問題なく拡散されていても、広告の審査に落ちてしまうこともあります。こうなると、インフルエンサーに追加費用を払って修正をしてもらうか、そもそもカットの再撮影ができず、広告には使えないという事態も考えられます。

そのため、基本的にはタイアップ投稿の時点から広告配信を行うことを念頭に、例えば紹介する商品・サービス以外の商品の映り込みを避けたり、不適切な表現がないことの確認を徹底するなど、クリエイティブチェックの体制を整えておくことをおすすめします。

第三者配信を使った事例

最後に、第三者配信を活用して成果につながったプロモーション事例をご紹介します。

第三者配信広告を前提としたインフルエンサー投稿

クリエイター向けPCソフトウェア

実施目的 :SNS上での商品露出とエンゲージメント獲得
実施時期 :新機能公開タイミング毎
ターゲット層 :潜在ユーザー
起用インフルエンサー人数 :10名〜20名
使用SNS :Instagram, TikTok

まず起用インフルエンサーに対し「商品理解を深める」「ブランド世界観を正しく伝える」ために、オフラインでセミナーを実施しました。その後、セミナーで学んだ内容を中心に、インフルエンサーにタイアップ投稿動画を作成してもらい投稿。その投稿を活用して、第三者配信をそれぞれのSNSで実施しました。

複数名起用したことで、パフォーマンスの高いインフルエンサー投稿のクリエイティブにより予算投下をすることが可能になり、広告効果の最適化を実施。

得られた効果として、通常のクリエイティブのSNS広告よりもクリック率・視聴完了率・エンゲージメント率・コンバージョン率のいずれも上回る結果となりました。

SNS広告における第三者配信のまとめ

インフルエンサーマーケティングの浸透によって各SNSで推奨され、活用されるようになったSNS広告の第三者配信ですが、大きなメリットがある一方で、配信までの手順が増えたり、インフルエンサーとの調整が必要になったりすることもあります。

インフルエンサーの影響力をブランドのプロモーションに転換し、タイアップ投稿やインフィード広告などとの相乗効果も見込めるので、SNSマーケティングの一環としてぜひ取り組んでみたいものですが、スムーズに進行できるように配信までの手順を理解して成果を確かなものとしましょう。

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