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近年ますます取り組む企業が増えているインフルエンサーマーケティング。2022年の段階で、YouTubeでは1日80件、Instagramでは1,200件以上のタイアップ投稿が行われており、この数からもインフルエンサーマーケティングの盛り上がりを感じていただけるのではないでしょうか。

しかしながら、多くの企業が取り組む一方で、社内でその効果を証明し伝えるのに苦戦している、という声も多く耳にします。この記事では、なぜ効果証明が難しいのか、そんな中でも社内で認めてもらうために成果をどのように定義し、測定して伝えていけばよいかを紹介していきます。

直接的な効果測定の難しさ

インフルエンサーマーケティングの効果測定は、再生回数やインプレッションなどの「リーチ数」や、いいね、コメント、保存などの「エンゲージメント数」、SNSによっては「リンククリック数」などの指標が用いられます。これらの指標では、各施策や投稿を横並びで比較することはできますが、社内で聞かれる「売上にどれだけ貢献したのか」という質問への回答に答えるには、不十分なことが多いです。

それでは、なぜ売上への貢献の証明が難しいのでしょうか。

この理由としては、第一に各SNSプラットフォームの制約が挙げられます。インフルエンサーマーケティングと一口に言っても、どのSNSを使うかによってリーチ数や再生回数、エンゲージメント情報など取得できる情報がさまざまで、そもそも投稿形式によっては直接購入を促すための遷移リンクを貼ることができず、セッションの流入を測定できないことがあります。

また、インフルエンサーマーケティングは相対的に予算が小さいことが多く、テレビCMや運用型広告と比較するとインパクトが限定的なことが多いです。少数のマイクロインフルエンサーの起用では、指名キーワードの検索数などの指標がノイズレベルの変動になってしまうこともしばしばあります。

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーとファンの距離の近さ、ファンの熱量の高さ、そして投稿内容の質の高さによって大きな態度変容を促せる、というメリットがありますが、そのメリットを直接的に測定しづらく、単純に既存の広告施策と比較してしまうと、テレビCMほどはインパクトが大きくなく、一方で、運用型広告よりはCPAが悪い、という結果に陥ってしまいがちです。

インフルエンサーマーケティングの効果測定に使われる指標

インフルエンサーマーケティングでは直接的な効果を測ることが難しいとはいえ、データが全く取れないわけではありません。他のキャンペーン同様、キャンペーン単位の指標を用いて効果を測定します。大きく分けると、指標には「投稿指標」「行動指標」「売上指標」があります。

投稿指標

インフルエンサーの起用金額は、フォロワー・チャンネル登録者数または平均再生回数を基準に決まることが多く、投稿がどのくらい伸びるかでCPV(1視聴あたりの金額)が変動するという計算になります。投稿指標はリーチに関わるものと、興味・好意を示すエンゲージメントに関わるものの2種類に分かれます。

リーチに関わるもの

  • リーチ数:投稿を見たユーザー数
  • インプレッション数:投稿が表示された回数(1ユーザーが複数カウントされる)
  • 再生回数:YouTubeの場合

エンゲージメントに関わるもの

  • いいね数・ライク数
  • コメント数
  • 保存数:Instagramでフィード・リール投稿が保存された数

行動指標

投稿を通じて商品・サービスに興味を持った後の直接的な行動を計測する指標です。

  • リンククリック数:YouTube、X、Instagramストーリーに計測用リンクを記載し追跡
  • 投稿出現数:主にXで商品・サービスに関するキーワードが含まれるUGCの数を計測、近年はYouTubeの切り抜き動画などで反応を示す例も

売上指標

  • リンク経由購入数:計測用リンクをクリックしそのまま購入に至った数
  • キャンペーンコード使用数:インフルエンサーの投稿に記載したキャンペーンコードを利用して購入に至った数
  • UGC創出数:InstagramやXなどで実際の購入後のメンションを計測

インフルエンサーマーケティングの効果測定の考え方

インフルエンサーマーケティングの成果を売上と直接結びつけて測定することは、一般的に難易度が高いとされています。これは、SNS上での接点がすぐに購買へと直結するとは限らず、ユーザーの行動が時間をかけて分散的に起こるためです。

インフルエンサー投稿の売上貢献が見えにくいもう1つの要因

上記の要因に加え、THECOOが2022年に実施した調査では、SNSで商品・サービスの情報を見た後に購入したタイミングについて、「SNSを見た後、すぐ」の経験がある人は6割程度にとどまっています。一方で、「SNSを見た後、時間がある時」と回答した人は8割以上にのぼります。

さらに、情報を見た後の行動として、「SNSに記載されているリンクをクリックして情報を見た」経験がある人は約半数にとどまっています。つまり、SNS投稿を起点とした行動は、直接的に計測できるケースがごく一部に限られており、実際には検索エンジンで調べたり、外部の比較サイトで商品を探すなど、多様なチャネルを介して意思決定がなされていることが分かります。

検討型の商材であればなおさらですが、SNSの情報を見て購入したことがある人の中でも、「よく目にするようになってから徐々に欲しくなった」という経験がある人は8割以上にのぼっています。こうした行動様式からも、SNSの情報が徐々に態度変容を促し、最終的な購買へとつながっている可能性が高いと考えられます。

このように、「直接的なコンバージョン」のみを成果と捉えると、本来起きている効果を過小評価してしまう恐れがあります。そのため、より構造的に、インフルエンサーマーケティングが与えうる影響を捉え、成果を推定する必要があります。以下に、効果測定のアプローチ方法をご紹介します。

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調査結果について詳しく知りたい方は、下記の資料をご覧ください。

SNSを介した購入経験に関する調査

購入者調査の実施

多くの企業・ブランドで会員組織を持つようになり、製品登録を促進させたり会員向けに商品に関するアンケートを実施するなど、さまざまな個人データを保有するようになっています。

一方で、リサーチパネルのサービスの中にはパネリストの購入データを持ったサービスも提供するようになっています。このように、社内・社外の消費者データを活用することで、統計学的に消費者の購入経路や認知経路などの調査が実施できるようになってきました。

ツリー形式の逆算で売上と投稿指標を紐づける

ひとつのアプローチとしては、カスタマージャーニーを段階ごとに分解し、それぞれのフェーズに対する貢献を逆算していくという方法があります。

抽象化したカスタマージャーニーの一例としては、

リーチ(認知) → エンゲージ(興味) → 検索(検討) → 購入 → リピート

という流れが考えられます。この構造において、SNS上で可視化できる「リーチ」や「エンゲージメント」などの中間指標に対して、各フェーズの歩留まり率を仮定・設定しながら売上への貢献を逆算的に推定することが可能です。

このような貢献度の推定には、以下の2つの前提が必要になります。

  1. 購入の前段階の中間指標をKPIとして設定すること
  2. 施策の目的をカスタマージャーニーの特定フェーズと対応させること

ここで注意したいのは、消費者の行動は多様であるため、このジャーニーモデルに完全に当てはめることは難しいという点です。また、SNS経由の購入チャネルのうち、オンライン・オフラインの比率や、自社ECでの売上比率などのデータが取得できると、数値の推定精度は向上します。

他の広告施策との比較による貢献度の換算

もう一つのアプローチは、他の広告手法との比較によって貢献度を相対的に評価する方法です。広報活動では広告換算費がよく使われますが、同様に、テレビCMや雑誌広告、Webメディアのタイアップ記事などと比較して、インフルエンサーマーケティングによる情報の拡散量を可視化することができます。

ただし、広告換算費で測定できるのはあくまで「露出の量」であり、インフルエンサーによる深い関与や態度変容といった質的な成果までは測定できません。そのため、他の広告と比較する際には、指標の特性や目的に応じて使い分けることが重要です。

因果推論による効果測定

さらに、統計的なアプローチを用いることで、より厳密に「インフルエンサー施策が売上に影響を与えたかどうか」を検証することも可能です。その代表的な手法に「差分の差分法(Difference in Differences)」や「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」です。

差分の差分法

差分の差分法とは、施策を行った地域/期間と、行っていない地域/期間を比較し、かつ前後の売上推移も見ることで、その他の外的要因を排除しながら施策の効果を推定する手法です。SNSの特性上、インフルエンサー施策では露出する地域の指定が難しいため、主に期間での差分で効果を推定することになります。

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インフルエンサーマーケティングにおける差分の差分法の活用の可能性について紹介した記事は以下をご覧ください。

インフルエンサーマーケティングの売上貢献を因果推論で証明することは可能なのか?

マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)

マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)は、テレビCMやWeb広告など複数のマーケティング要素が売上に与える影響を統計モデルで推定する手法です。定常的に出稿される広告の効果を測定するために用いられることが多いですが、その中にSNS施策を組み込むことができれば、成果を把握することが可能です。

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インフルエンサーマーケティングにおけるMMMの活用の可能性について紹介した記事は以下をご覧ください。

インフルエンサーマーケティングはマーケティングミックスモデリング(MMM)に組み込むことができるのか?

このように、仮説ベースの逆算から統計的な検証まで、複数のアプローチを組み合わせることで、インフルエンサーマーケティングの「売上への貢献」をより多角的に捉えることができます。

効果測定のための3つの時間軸

インフルエンサーマーケティングの効果測定には「どの粒度で成果を捉えるか」が非常に重要です。投稿単体のパフォーマンスだけを見るのか、キャンペーン全体として評価するのか、それとも長期的なブランド育成として時系列データで見るのか。これらの視点を整理するために、ここでは3つの時間軸での捉え方を紹介します。

1. 投稿単位:短期的な売上貢献を即時に確認

インフルエンサーの投稿が売上に与える影響を最も即時的に測定できるのが、投稿単体でのパフォーマンス計測です。たとえば、限定商品やセール情報など「今すぐ買いたくなる」商材・文脈においては、投稿直後にクリックやコンバージョンが発生するケースもあります。

測定指標としては以下のようなものがあります:

  • URLクリック数(ECやLPへの遷移)
  • 商品ページへの流入数
  • 投稿起点の購買(アフィリエイト連携やクーポンコードなどで判別可能な場合)

投稿単位で売上への影響を把握することのメリットは、「どのインフルエンサーがいいか」「どの投稿スタイルがいいか」「どの訴求がいいか」などの細かな示唆が得られる点です。一方で、この時間軸で売上への影響を捉えるには、投稿の即効性が高い設計(例:限定性・特典訴求)になっているかどうかがポイントです。

2. キャンペーン単位:一定期間の購買促進効果を可視化

複数の投稿を統合して、キャンペーン全体で評価する場合は、SNS上の話題喚起による比較検討段階での影響や、流入チャネルとしての機能がより明確になります。この場合、上記の投稿単位のパフォーマンス測定の合算だけでなく、もう少し包括的な効果測定が可能になるでしょう。

たとえば、「複数インフルエンサーによる同一商品の紹介」や「ブランドアカウントとの連動」など、統合的なコミュニケーションが行われているケースでは、以下のような効果が期待できます:

  • SNS経由の流入増加 → EC・店舗への来訪
  • SNS接触後の検索 → 指名検索・比較サイト経由の購買
  • 口コミ的な拡散 → 認知の広がりからの検討層拡大

この時間軸では、直接的なCVだけでなく、間接的な購買導線を可視化する設計(例:ブランド指名検索の増加、流入元分析など)によって、売上貢献を捉えることが可能になります。また、キャンペーン単位は購入者調査でのパフォーマンスの確認も行いやすいでしょう。

3. 長期継続型:ブランド態度変容を通じた中長期的な売上影響

継続的にインフルエンサー施策を実施している場合は、投稿単体ではなく、ブランド全体への認知・好意・検討意向といった態度変容が購買に影響を与えているかどうかを見る必要があります。

このような長期施策では、インフルエンサーのコンテンツが繰り返しユーザーの目に触れることで、「よく目にするようになって欲しくなる」という状態を生み出し、時間をかけて購買へとつながる可能性があります。

効果測定の例:

  • ブランドワードの検索量推移(Google Trendsやサーチコンソールなど)
  • SNS上での言及量や好意的な投稿の変化
  • ブランドリフト調査(認知・好意・購入意向)

この時間軸では、売上との直接的な紐づけは難しいものの、ブランド資産の蓄積が売上に波及していく構造を意識することで、戦略的な評価が可能になります。

また、このような中長期施策こそが、MMMなどの時系列データを用いた統計的手法による因果推論評価に適している時間軸であるともいえます。

粒度を意識し、正しく「効き目」を捉える

このように、インフルエンサーマーケティングの効果測定は、単発の反応ではなく、どの単位で、どの指標をもって“効いた”と判断するかが重要です。直接的な購買行動だけに頼るのではなく、間接的・中長期的な影響も含めて複眼的に評価することで、インフルエンサー施策の価値をより精緻に捉えていくことができます。

効果を正しく測定するするために

ここまでご紹介してきたように、SNSの特性や消費者行動調査からもわかるように、インフルエンサーマーケティングの売上に対する効果を正しく測ることは決して簡単ではなく、なんらかの推定値に基づいて成果を証明していく必要があります。

効果を可能な限り正しく測定するためには、インフルエンサーマーケティングを担当者のみで実施するのではなく、社内のデジタル部門やデータサイエンス部門などと連携し、どのように成果を測っていきたいか、どのようにデータを蓄積していきたいかを相談しながら進めていくことが必要不可欠です。

また、各SNSの仕様も常に変わっていきます。取得できるデータが変わることもあるので、定期的にキャッチアップすることをおすすめします。

THECOOでは、インフルエンサーマーケティングの投稿指標の蓄積だけでなく、インフルエンサーマーケティングの目的の設定、どのような形で成果を測っていくかについてもご相談いただけますので、お気軽にご相談ください。

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どう証明する?インフルエンサーマーケティングの売上への影響と効果測定
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どう証明する?インフルエンサーマーケティングの売上への影響と効果測定

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INDEX

近年ますます取り組む企業が増えているインフルエンサーマーケティング。2022年の段階で、YouTubeでは1日80件、Instagramでは1,200件以上のタイアップ投稿が行われており、この数からもインフルエンサーマーケティングの盛り上がりを感じていただけるのではないでしょうか。

しかしながら、多くの企業が取り組む一方で、社内でその効果を証明し伝えるのに苦戦している、という声も多く耳にします。この記事では、なぜ効果証明が難しいのか、そんな中でも社内で認めてもらうために成果をどのように定義し、測定して伝えていけばよいかを紹介していきます。

直接的な効果測定の難しさ

インフルエンサーマーケティングの効果測定は、再生回数やインプレッションなどの「リーチ数」や、いいね、コメント、保存などの「エンゲージメント数」、SNSによっては「リンククリック数」などの指標が用いられます。これらの指標では、各施策や投稿を横並びで比較することはできますが、社内で聞かれる「売上にどれだけ貢献したのか」という質問への回答に答えるには、不十分なことが多いです。

それでは、なぜ売上への貢献の証明が難しいのでしょうか。

この理由としては、第一に各SNSプラットフォームの制約が挙げられます。インフルエンサーマーケティングと一口に言っても、どのSNSを使うかによってリーチ数や再生回数、エンゲージメント情報など取得できる情報がさまざまで、そもそも投稿形式によっては直接購入を促すための遷移リンクを貼ることができず、セッションの流入を測定できないことがあります。

また、インフルエンサーマーケティングは相対的に予算が小さいことが多く、テレビCMや運用型広告と比較するとインパクトが限定的なことが多いです。少数のマイクロインフルエンサーの起用では、指名キーワードの検索数などの指標がノイズレベルの変動になってしまうこともしばしばあります。

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーとファンの距離の近さ、ファンの熱量の高さ、そして投稿内容の質の高さによって大きな態度変容を促せる、というメリットがありますが、そのメリットを直接的に測定しづらく、単純に既存の広告施策と比較してしまうと、テレビCMほどはインパクトが大きくなく、一方で、運用型広告よりはCPAが悪い、という結果に陥ってしまいがちです。

インフルエンサーマーケティングの効果測定に使われる指標

インフルエンサーマーケティングでは直接的な効果を測ることが難しいとはいえ、データが全く取れないわけではありません。他のキャンペーン同様、キャンペーン単位の指標を用いて効果を測定します。大きく分けると、指標には「投稿指標」「行動指標」「売上指標」があります。

投稿指標

インフルエンサーの起用金額は、フォロワー・チャンネル登録者数または平均再生回数を基準に決まることが多く、投稿がどのくらい伸びるかでCPV(1視聴あたりの金額)が変動するという計算になります。投稿指標はリーチに関わるものと、興味・好意を示すエンゲージメントに関わるものの2種類に分かれます。

リーチに関わるもの

  • リーチ数:投稿を見たユーザー数
  • インプレッション数:投稿が表示された回数(1ユーザーが複数カウントされる)
  • 再生回数:YouTubeの場合

エンゲージメントに関わるもの

  • いいね数・ライク数
  • コメント数
  • 保存数:Instagramでフィード・リール投稿が保存された数

行動指標

投稿を通じて商品・サービスに興味を持った後の直接的な行動を計測する指標です。

  • リンククリック数:YouTube、X、Instagramストーリーに計測用リンクを記載し追跡
  • 投稿出現数:主にXで商品・サービスに関するキーワードが含まれるUGCの数を計測、近年はYouTubeの切り抜き動画などで反応を示す例も

売上指標

  • リンク経由購入数:計測用リンクをクリックしそのまま購入に至った数
  • キャンペーンコード使用数:インフルエンサーの投稿に記載したキャンペーンコードを利用して購入に至った数
  • UGC創出数:InstagramやXなどで実際の購入後のメンションを計測

インフルエンサーマーケティングの効果測定の考え方

インフルエンサーマーケティングの成果を売上と直接結びつけて測定することは、一般的に難易度が高いとされています。これは、SNS上での接点がすぐに購買へと直結するとは限らず、ユーザーの行動が時間をかけて分散的に起こるためです。

インフルエンサー投稿の売上貢献が見えにくいもう1つの要因

上記の要因に加え、THECOOが2022年に実施した調査では、SNSで商品・サービスの情報を見た後に購入したタイミングについて、「SNSを見た後、すぐ」の経験がある人は6割程度にとどまっています。一方で、「SNSを見た後、時間がある時」と回答した人は8割以上にのぼります。

さらに、情報を見た後の行動として、「SNSに記載されているリンクをクリックして情報を見た」経験がある人は約半数にとどまっています。つまり、SNS投稿を起点とした行動は、直接的に計測できるケースがごく一部に限られており、実際には検索エンジンで調べたり、外部の比較サイトで商品を探すなど、多様なチャネルを介して意思決定がなされていることが分かります。

検討型の商材であればなおさらですが、SNSの情報を見て購入したことがある人の中でも、「よく目にするようになってから徐々に欲しくなった」という経験がある人は8割以上にのぼっています。こうした行動様式からも、SNSの情報が徐々に態度変容を促し、最終的な購買へとつながっている可能性が高いと考えられます。

このように、「直接的なコンバージョン」のみを成果と捉えると、本来起きている効果を過小評価してしまう恐れがあります。そのため、より構造的に、インフルエンサーマーケティングが与えうる影響を捉え、成果を推定する必要があります。以下に、効果測定のアプローチ方法をご紹介します。

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SNSを介した購入経験に関する調査

購入者調査の実施

多くの企業・ブランドで会員組織を持つようになり、製品登録を促進させたり会員向けに商品に関するアンケートを実施するなど、さまざまな個人データを保有するようになっています。

一方で、リサーチパネルのサービスの中にはパネリストの購入データを持ったサービスも提供するようになっています。このように、社内・社外の消費者データを活用することで、統計学的に消費者の購入経路や認知経路などの調査が実施できるようになってきました。

ツリー形式の逆算で売上と投稿指標を紐づける

ひとつのアプローチとしては、カスタマージャーニーを段階ごとに分解し、それぞれのフェーズに対する貢献を逆算していくという方法があります。

抽象化したカスタマージャーニーの一例としては、

リーチ(認知) → エンゲージ(興味) → 検索(検討) → 購入 → リピート

という流れが考えられます。この構造において、SNS上で可視化できる「リーチ」や「エンゲージメント」などの中間指標に対して、各フェーズの歩留まり率を仮定・設定しながら売上への貢献を逆算的に推定することが可能です。

このような貢献度の推定には、以下の2つの前提が必要になります。

  1. 購入の前段階の中間指標をKPIとして設定すること
  2. 施策の目的をカスタマージャーニーの特定フェーズと対応させること

ここで注意したいのは、消費者の行動は多様であるため、このジャーニーモデルに完全に当てはめることは難しいという点です。また、SNS経由の購入チャネルのうち、オンライン・オフラインの比率や、自社ECでの売上比率などのデータが取得できると、数値の推定精度は向上します。

他の広告施策との比較による貢献度の換算

もう一つのアプローチは、他の広告手法との比較によって貢献度を相対的に評価する方法です。広報活動では広告換算費がよく使われますが、同様に、テレビCMや雑誌広告、Webメディアのタイアップ記事などと比較して、インフルエンサーマーケティングによる情報の拡散量を可視化することができます。

ただし、広告換算費で測定できるのはあくまで「露出の量」であり、インフルエンサーによる深い関与や態度変容といった質的な成果までは測定できません。そのため、他の広告と比較する際には、指標の特性や目的に応じて使い分けることが重要です。

因果推論による効果測定

さらに、統計的なアプローチを用いることで、より厳密に「インフルエンサー施策が売上に影響を与えたかどうか」を検証することも可能です。その代表的な手法に「差分の差分法(Difference in Differences)」や「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」です。

差分の差分法

差分の差分法とは、施策を行った地域/期間と、行っていない地域/期間を比較し、かつ前後の売上推移も見ることで、その他の外的要因を排除しながら施策の効果を推定する手法です。SNSの特性上、インフルエンサー施策では露出する地域の指定が難しいため、主に期間での差分で効果を推定することになります。

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インフルエンサーマーケティングにおける差分の差分法の活用の可能性について紹介した記事は以下をご覧ください。

インフルエンサーマーケティングの売上貢献を因果推論で証明することは可能なのか?

マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)

マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)は、テレビCMやWeb広告など複数のマーケティング要素が売上に与える影響を統計モデルで推定する手法です。定常的に出稿される広告の効果を測定するために用いられることが多いですが、その中にSNS施策を組み込むことができれば、成果を把握することが可能です。

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インフルエンサーマーケティングはマーケティングミックスモデリング(MMM)に組み込むことができるのか?

このように、仮説ベースの逆算から統計的な検証まで、複数のアプローチを組み合わせることで、インフルエンサーマーケティングの「売上への貢献」をより多角的に捉えることができます。

効果測定のための3つの時間軸

インフルエンサーマーケティングの効果測定には「どの粒度で成果を捉えるか」が非常に重要です。投稿単体のパフォーマンスだけを見るのか、キャンペーン全体として評価するのか、それとも長期的なブランド育成として時系列データで見るのか。これらの視点を整理するために、ここでは3つの時間軸での捉え方を紹介します。

1. 投稿単位:短期的な売上貢献を即時に確認

インフルエンサーの投稿が売上に与える影響を最も即時的に測定できるのが、投稿単体でのパフォーマンス計測です。たとえば、限定商品やセール情報など「今すぐ買いたくなる」商材・文脈においては、投稿直後にクリックやコンバージョンが発生するケースもあります。

測定指標としては以下のようなものがあります:

  • URLクリック数(ECやLPへの遷移)
  • 商品ページへの流入数
  • 投稿起点の購買(アフィリエイト連携やクーポンコードなどで判別可能な場合)

投稿単位で売上への影響を把握することのメリットは、「どのインフルエンサーがいいか」「どの投稿スタイルがいいか」「どの訴求がいいか」などの細かな示唆が得られる点です。一方で、この時間軸で売上への影響を捉えるには、投稿の即効性が高い設計(例:限定性・特典訴求)になっているかどうかがポイントです。

2. キャンペーン単位:一定期間の購買促進効果を可視化

複数の投稿を統合して、キャンペーン全体で評価する場合は、SNS上の話題喚起による比較検討段階での影響や、流入チャネルとしての機能がより明確になります。この場合、上記の投稿単位のパフォーマンス測定の合算だけでなく、もう少し包括的な効果測定が可能になるでしょう。

たとえば、「複数インフルエンサーによる同一商品の紹介」や「ブランドアカウントとの連動」など、統合的なコミュニケーションが行われているケースでは、以下のような効果が期待できます:

  • SNS経由の流入増加 → EC・店舗への来訪
  • SNS接触後の検索 → 指名検索・比較サイト経由の購買
  • 口コミ的な拡散 → 認知の広がりからの検討層拡大

この時間軸では、直接的なCVだけでなく、間接的な購買導線を可視化する設計(例:ブランド指名検索の増加、流入元分析など)によって、売上貢献を捉えることが可能になります。また、キャンペーン単位は購入者調査でのパフォーマンスの確認も行いやすいでしょう。

3. 長期継続型:ブランド態度変容を通じた中長期的な売上影響

継続的にインフルエンサー施策を実施している場合は、投稿単体ではなく、ブランド全体への認知・好意・検討意向といった態度変容が購買に影響を与えているかどうかを見る必要があります。

このような長期施策では、インフルエンサーのコンテンツが繰り返しユーザーの目に触れることで、「よく目にするようになって欲しくなる」という状態を生み出し、時間をかけて購買へとつながる可能性があります。

効果測定の例:

  • ブランドワードの検索量推移(Google Trendsやサーチコンソールなど)
  • SNS上での言及量や好意的な投稿の変化
  • ブランドリフト調査(認知・好意・購入意向)

この時間軸では、売上との直接的な紐づけは難しいものの、ブランド資産の蓄積が売上に波及していく構造を意識することで、戦略的な評価が可能になります。

また、このような中長期施策こそが、MMMなどの時系列データを用いた統計的手法による因果推論評価に適している時間軸であるともいえます。

粒度を意識し、正しく「効き目」を捉える

このように、インフルエンサーマーケティングの効果測定は、単発の反応ではなく、どの単位で、どの指標をもって“効いた”と判断するかが重要です。直接的な購買行動だけに頼るのではなく、間接的・中長期的な影響も含めて複眼的に評価することで、インフルエンサー施策の価値をより精緻に捉えていくことができます。

効果を正しく測定するするために

ここまでご紹介してきたように、SNSの特性や消費者行動調査からもわかるように、インフルエンサーマーケティングの売上に対する効果を正しく測ることは決して簡単ではなく、なんらかの推定値に基づいて成果を証明していく必要があります。

効果を可能な限り正しく測定するためには、インフルエンサーマーケティングを担当者のみで実施するのではなく、社内のデジタル部門やデータサイエンス部門などと連携し、どのように成果を測っていきたいか、どのようにデータを蓄積していきたいかを相談しながら進めていくことが必要不可欠です。

また、各SNSの仕様も常に変わっていきます。取得できるデータが変わることもあるので、定期的にキャッチアップすることをおすすめします。

THECOOでは、インフルエンサーマーケティングの投稿指標の蓄積だけでなく、インフルエンサーマーケティングの目的の設定、どのような形で成果を測っていくかについてもご相談いただけますので、お気軽にご相談ください。

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