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ふるさと納税や地方創生に寄与するインフルエンサーマーケティングの価値
INDEX
ふるさと納税とは?
概要
日本で2008年(平成20年)5月から開始された、現住所とはことなる地域、出身地や思い出の地など、応援したい自治体に寄付ができる「ふるさと納税」。
総務省が2024年8月2日に発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、2023年度のふるさと納税で全国に寄付された金額は、初の1兆円越え、利用者においても約1,000万人となり、こちらも最高記録を更新しています。
また、2016年には企業が地方創生事業に寄付を行うことで法人税などの税額控除が可能な「企業版ふるさと納税」も創設されました。
内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局が2024年8月に発表した「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和5年度寄附実績について(概要)」によると、前年と比べ寄付額が約1.4倍、件数は約1.7と大きく成長しています。
ふるさと納税を通じて特定の自治体に一定以上の金額を寄付することで、下記のようなメリットを受けることができます。
・2,000円の自己負担にて所得税や現住所の住民税が控除される(条件、上限あり)
・寄付金の用途を指定(選択)できる
・様々な返礼品を指定し、受け取ることができる
自治体にとっても、税収のアップだけでなく返礼品を通じて自治体にまつわる特産品や観光資源などをPRできる側面もあり、地方活性化、ひいては地方創生につながるよい制度といえます。
2025年10月1日にはポータルサイトによるポイント還元の廃止。また、ECサイト市場でトップを走るAmazon社参入の噂など、大きな節目を迎えつつあるふるさと納税ですが、本記事では、制度が成長するために必須であったといえるインフルエンサーマーケティング独自の価値を施策と併せて紹介します。
ふるさと納税の成長きっかけ
2021年、東日本大震災における災害地域寄付の方法として注目を集め、2015年には確定申告をしなくともふるさと納税分の税制メリットを受けられる「ワンストップ特例制度」が追加され、納税控除限度額が2倍になる改正がなされました。
これにより利便性があがり寄付するメリットは増えましたが、それだけでは現状のような成長は見込めません。
「ふるさと納税」自体の認知を向上させることはもちろん、前項でふれたような「利用メリット」を自分ゴトとして理解してもらい、行動を促進させる後押しが必要です。
独立行政法人経済産業研究所が2024年9月に実施した「ふるさと納税実態調査」によると、2023年時点、回答者の半数以上が「特定の自治体を応援したい」というよりも「返礼品」にまつわる情報で自治体を選ぶことを最重要視されていることが分かります。
引用元:独立行政法人経済産業研究所
「寄付により税金が控除される」「地方活性化につながる」というような一見とっつきにくい情報だけでなはなく、多くの消費者に伝わるメリット「魅力的な返礼品が多数ある」ことや寄付検討層に向けた「それほど複雑な手続きではない」ということを訴求しました。制度利用者を飛躍的に増加させたのはマーケティングの力であるといえ、特に「ふるさと納税ポータルサイトが放映し続けるTVCM」とSNSを起点とした「自治体とインフルエンサーのタイアップ」が大きく寄与したと考えられます。
それでは、ふるさと納税ポータルサイトやSNSで、どのように認知を獲得し「魅力的な返礼品が多数ある」ことを消費者へ浸透させることができたのかみていきましょう。
ポータルサイトのTVCM
ふるさと納税ポータルサイトは、民間企業が複数自治体の返礼品をとりまとめ、納税手続きをスムーズに行えるサイトを指します。
ふるさと納税は自治体に直接納付することが可能ですが、ポイント還元や独自返礼品の掲載、ふるさと納税を分かりやすく説明する情報サイトの運営など、付加価値の多いポータルサイトの利用者が大半となっています。
ここでは、ふるさと納税制度の成長に大きく寄与した一つの要因といえる、TVCMの訴求軸から消費者の認知度合いをみていきます。
2015年、ふるさとチョイスが行ったTVCMでは、特定の自治体にフォーカスしつつ、返礼品の魅力というよりも、支援(納税)により地方活性化、地方創生に協力できるかが訴求軸となっていることが分かります。
2018年、ふるなびが行ったTVCMでは、返礼品を待ちわびるクリエイティブとなっており、このころからふるさと納税の「魅力的な返礼品がある」という認知が加速したといえます。
コロナ過を経て2021年には、さとふるをはじめ主要なポータルサイトの広告クリエイティブが多様化します。
税金が控除される点や、返礼品など寄付することのメリットがある程度周知された状況であるといえ、サービス名を強調したシンプルなクリエイティブや、面倒そうだからやらないという消費者に向けて「やってることがあたりまえ」という意味合いのクリエイティブを用い態度変容を促すものとなっています。
2024年現在においても、各社サービス名自体を強調するクリエイティブが目立つことからふるさと納税制度の認知はある程度取れたという前提で、はじめて利用していようと考えている層に「自社サービス名を1番最初に思い出してもらう」ことに焦点があたっているといえそうです。
各ふるさと納税ポータルサイトがTVCMを通じ様々なメッセージを発信し続けたことにより、潜在層、未利用者層に向けてふるさと納税という制度の認知、寄付によってメリットを得られることの周知に成功しました。
しかしながら、TVCMのようなプロモーション手法は15秒、30秒が基本で「情報量の担保」が難しく、また、ふるさと納税は確定申告などのイメージからか「手続きが面倒そう」という声の払拭は容易ではないことが伺えます。
2020年5月11日にニッセイ基礎研究所が公開したふるさと納税に関するアンケート調査記事をみると、「仕組みやメリットについては知っており、やりたいと思っているが、手続きが面倒なため」「仕組みやメリットについて、よく知らないため」という回答が殆どの年齢層で50%以上を締める結果がでてきています。
この「面倒」「メリットが分からない」に対して、「手続きが想像するほど面倒でないこと」「具体的な返礼品の魅力訴求によるメリット提示」で補完したのがインフルエンサーマーケティングであり、UGCといえます。
自治体とインフルエンサーのタイアップ
総務省が発表している「令和5年度 通信利用動向調査」によると、日本のSNS利用率は80%を越えており、また、その約60%が情報収集に利用していることがわかります。
SNSにおいても一般的な広告主が主体となるプロモーション(バナー広告や動画広告)においては、キャンペーンなどお得感を打ち出すことは可能ながら、深い情報を訴求することは難しいといえます。
一方、SNS上での継続的な情報発信によりファンを生み出し、コミュニティをもつインフルエンサーに情報発信してもらうインフルエンサーマーケティングを活用するとサービス認知はもちろん、具体的な返礼品の紹介や手続き方法など「消費者目線、利用者目線」での訴求が可能となります。
2022年11月に弊社が行った消費者調査によると、商品やサービスを購入・利用する際に参考としたSNSアカウントは公式に次いでインフルエンサーのアカウントから発信された情報である、という結果がでていることから、消費者目線での情報発信が可能であるともに記憶に残すことのできる施策であることがわかります。
こちらは著名YouTuberであるカズさんの料理チャンネル「カズ飯/Cooking Kazu」と「福井県坂井市」とのタイアップとなります。
全編ふるさと納税に関するタイアップコンテンツとなっている本動画ですが18分以上あります。
15秒、30秒では伝えきれない、自治体の魅力、ふるさと納税返礼品の魅力、手続きが面倒でないことを全て消費者目線で訴求できています。
コメント欄では返礼品の魅力が伝わっただけでなく、「ふるさと納税についてよく分かったので有難いです」「ポチった」というように、深いサービス理解と態度変容を促進していることがわかります。
※引用元:Googleトレンド
上記は、Google検索におけるキーワード検索数推移を知ることのできるGoogleトレンドというツールになります。
Googleトレンドにて2019年から「カズ飯/Cooking Kazu」とタイアップを行った2020年の「福井県 ふるさと納税」というキーワードの検索数推移を見ると、タイアップを行った時期(2020年12月15日以降)に検索数が増加していることがわかります。
ふるさと納税による税金の還付、控除金額の限度額は1月1日〜12月31日の寄附に適用されることから、年内に使い切らないと翌年に繰り越せないため、12月の需要が高まるのが一般的ですが、2019年12月と比べても多くの検索が発生しています。
また、ふるさと納税ポータルサイトが実施するインフルエンサーのタイアップでは「具体的な手続き方法」について訴求をしています。
本動画は、40代のライフスタイル、人生の楽しみ方を発信しファンをかかえている「あいり」さんと楽天ふるさと納税とのタイアップとなります。
こちらのコメントでは「インフルエンサーとコメント欄の
おかげでダブルでわかりやすかった」と記載があるように、インフルエンサーだけでなく視聴者側もふるさと納税というコンテンツの手続きを補足するようなやりとりが見受けられます。
このように、インフルエンサーマーケティング、特にYouTuberとのタイアップは、自分ゴト化できる消費者の目線で多くの情報を訴求でき、かつターゲットがインフルエンサーのファン(コミュニティ)であるため、深い商材認知、態度変容、タイアップ商材に関するコミュニケーションを促進することができます。
地方創生の観点からもインフルエンサーの求心力、影響力が注目されており、ここ数年では自治体とインフルエンサーの協業プロジェクトやPR大使化が増加しています。
UGC
UGCは、User Generated Content(消費者が作成したコンテンツ)といい、タイアップを含むSNS上のコンテンツを意味します。
TVCMやインフルエンサーマーケティングにより、制度の認知~興味喚起~態度変容~行動(寄付)という一連の流れを一定数のユーザーが体験し、その満足度が高いと、SNS上で多くのUGCが発生し、中にはふるさと納税の返礼品に特化したSNSアカウントが誕生し、中にはインフルエンサーとよべる規模になるケースもあり、自然にサービスを紹介してくれるよいサイクルが生まれるようになります。
意図的にこのようなインフルエンサーを生み出すことは容易ではないですが、もし自社のサービスについて紹介してくれるSNSアカウントを見つけた際はタイアップを依頼したり製品を提供すると、更に活発に活動してくれるようになります。
ふるさと納税からみるインフルエンサーマーケティングの価値
ふるさと納税は、ポータルサイトと自治体がそれぞれの力を発揮したマーケティングにより成長したよい例といえます。
ふるさと納税からみるインフルエンサーマーケティング施策の価値は「態度変容」にあります。
TVCMのような一方的なメッセージングではなく、インフルエンサーとファンという関係値があるからこそ情報量多く訴求でき、自分ゴトとして情報を受け取ってもらうことができます。
ふるさと納税のように認知が浸透していても、利用のハードルが高くみえがちな制度やサービスの利用を促進するには、インフルエンサーとのタイアップが必須であり最適であるといえます。
また、インフルエンサーマーケティングは「バズを生み出す」イメージをお持ちの方がおられますが、あくまで「ファン向け」の訴求であると考えましょう。
TVCM、インフルエンサーマーケティング、広告、製品力アップ、LPの利便性向上などそれぞれのマーケティング施策の立ち位置を把握し連動させることでサービスの成長が加速します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このような考え方は、ふるさと納税制度に限らず、新規ブランドの立ち上げや、既存顧客のロイヤリティ化など日用品や旅行など様々な業界、状況に活かせるものであり、ぜひ貴社のマーケティングの参考にしていただけますと幸いです。
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