多くのブランドにとって、年末商戦が最も重要なキャンペーンの時期といっても過言ではないでしょう。近年日本でもすっかり定着した11月末のブラックフライデーとサイバーマンデー、12月10日前後の日系企業のボーナス支給日と、それ以降のクリスマスシーズン、そして年は明けますがお正月の初売りと、消費者の財布の紐が緩むイベントが続きます。

話題づくりのためにはオンライン、特にSNSでのプロモーションが必要不可欠ですが、この時期ならではの季節性のあるキャンペーンを行うことで高い成果を目指すことができます。この記事では、SNS施策の中でも、特にインフルエンサーマーケティングによるキャンペーンで年末商戦を盛り上げるポイントを紹介します。

目次

 

年末商戦におけるインフルエンサーマーケティングで考慮すべき点

我々のような消費者にとって、年末はなにかとイベントが増えて忙しくなりますが、インフルエンサーも同様に忙しくなることに留意しておきましょう。インフルエンサーは一般人に近く、SNS外では普通に生活している生身の人間のため、旅行したり、家族と過ごしたりと、年末はコンテンツ制作から離れる時間が増えることが想定されます。また、この時期は多くのブランドがプロモーションを強化することから、インフルエンサーへの依頼も全体的に増える傾向にあり、スケジュールはいつも以上に埋まりがちです。

そのため、年末商戦に向けては早いうちから協業できるインフルエンサーを探し、キャンペーンの成果につながる高いクオリティのコンテンツを企画・作成するための十分な時間を確保できるように取り組みましょう。一般的には、インフルエンサーマーケティングは実施の確定から公開まで1.5ヶ月程度要するのが通例ですが、年末商戦の時期には案件が重なり、2ヶ月以上かかることもあります。

インフルエンサーへの依頼を素早く進めるには、過去にやり取りのあるインフルエンサーマーケティング代理店などと連携することをおすすめします。インフルエンサーマーケティング代理店は定常的に多くの案件を取り扱っているため、インフルエンサー事務所やフリーのインフルエンサーと関係が強いです。

そのため、インフルエンサー側でタイアップ依頼が埋もれることを避け、素早く回答を得られる可能性が高まります。さらに、これまでの起用実績から、納期の正確さやクリエイティブの質の高さなどが担保された、信頼できるインフルエンサーリストを保有していることが多いです。

もう1点気をつけたいのは、年末はブランドからの依頼が増えるため、金額を上げる傾向にあります。想定よりも予算が多く必要になる可能性もあるため、余裕を持って計画的にキャンペーンを企画・検討しましょう。

年末商戦を盛り上げるインフルエンサーキャンペーン8つのアイデア

年末商戦におけるインフルエンサーマーケティングの留意点について解説しましたが、他の時期よりも高い予算、多くの工数を割いてでもぜひ取り組んでみたいこの季節のインフルエンサーマーケティング。売上だけを目的にするのではなく、この時期に注目を集めることでSNSで話題を作っているブランドとしての認知を高め、消費者との接点をなるべく多く設けることが重要です。

今年の年末商戦で取り組むことをおすすめする、8つのアイデアを紹介します。

1. 割引コードを使用した割引

2023年現在、円高や燃料費の高騰などの影響であらゆる商品が値上がり、多くの消費者は余計な出費を抑え、お得な買い物を重要視しています。そこで、セールに加えてインフルエンサーキャンペーンに関連した割引コードなどを発行し、消費者がお得に感じるような仕掛けを作りましょう。

場合によってはアフィリエイトコードにして、売上に対してコミッションを追加で支払うインセンティブを加えれば、特にマイクロインフルエンサーなどは積極的に拡散してくれるでしょう。

2. ホリデーギフト

年末には友人同士でもプレゼントを贈ることが多いかと思いますが、XやInstagramを通じて、年末のイベントに関連したプレゼントキャンペーンを行いましょう。プレゼントキャンペーンは、フォロワー数やエンゲージメントを短期間で増やすことのできる、効果的なキャンペーンです。

プレゼントキャンペーンに協力してくれるインフルエンサーを複数名集め、インフルエンサーのアカウントを通じて、ファンに向けてブランドとコラボしたプレゼントキャンペーンを紹介してもらいましょう。その際、ブランドの公式アカウントをフォローする、プレゼントの告知投稿にコメントを残す、ストーリーズに公式アカウントをメンションしてシェアする、など応募の条件を設定しましょう。

実店舗がある場合には、来店促進を目的にしたプレゼントキャンペーンを実施することもできます。SNSを見て来店した人向けのプレゼントやサンプル品を用意しておき、店舗の位置情報などを添え、店舗限定のプレゼントキャンペーンについてインフルエンサーに紹介してもらいましょう。インフルエンサーが実際に店舗を訪問した様子の投稿を組み合わせると、さらにエンゲージメントの向上が期待できます。

3. 限定コラボ商品

‍インフルエンサーとブランドのコラボ商品は、大きな興味を引く、クリエイティブなインフルエンサーマーケティング戦略です。しかしながら、コラボ商品はインフルエンサーの協力が不可欠ですし、新たなプロジェクトとなるため、企画から実現までは時間がかかります。

とはいえ、コラボ商品の取り組みは、単純なタイアップ投稿では生み出すことのできないファンへの強烈な印象を残すものです。インフルエンサーの世界観や個性を表現できる商品を作れるため、インフルエンサー自身を支援することにもつながります。

工数を考えると多くのインフルエンサーを起用することは現実的ではないため、コラボキャンペーンに適したインフルエンサーを見つけることが非常に重要になってきます。その中でも手間を減らしながら進めるためには、過去のタイアップなどを通じてイメージや世界観の相性がよいインフルエンサーをリストアップしておくことが大切です。

この形でのコラボレーションにより、このインフルエンサーはブランドのアンバサダーの1人とみなすことができます。このインフルエンサーキャンペーンは、より高いエンゲージメント率をもたらしますし、インフルエンサーの熱も高まります。特にクリスマス施策は商品自体がファンにとってかけがえのないプレゼントとなるため、インフルエンサーとのコラボを行うのに最適な時期です。

4. チュートリアル

年末は忙しい時期ではありますが、休みもあり、まとまった時間もとれる消費者も多いので、商品の活用法を伝えるチュートリアルのコンテンツを広めるのにとてもよい時期です。具体的な例を2つ紹介します。

DIY

クリスマスシーズンには部屋や庭などをデコレーションしたり、年末には大掃除で模様替えなどを行ったりする人が増えます。インフルエンサーとコラボレーションし、実際にやってみた系の動画を投稿することで、ブランドの商品を使ってDIYのアイデアや実際の方法を拡散できます。

レシピ

年末は忘年会や、クリスマス、大晦日、お正月など、なにかとおいしいものを食べる機会が増えます。友人たちや家族で料理をする機会も増えます。この時期にとっておきのレシピを紹介することができれば、レシピに使われる食材や調味料などの認知にもつながり、ROIを向上させられます。

5. クリエイティブの二次利用・第三者配信

クリスマスやお正月などのコンテンツは華やかな装飾などが多く、誰もがウキウキする魅力的なものであることが多いです。このコンテンツの力を最大限に活用しましょう。

インフルエンサーが作成したコンテンツ(Influencer Generated Contentを略してIGCと呼びましょう)は、二次利用の許諾を得ることでWebサイト、ブランドの公式SNSアカウント、メールなどの他のマーケティングチャネルに転用することができます。

さまざまな用途の中でも、華やかで興味を引きやすいこの時期のIGCをフルに活かす最善の方法は、各SNSの第三者配信広告です。インフルエンサーの投稿そのものをブランドが代理で広告として出稿することで、SNSネイティブなコンテンツで高いエンゲージメントを維持したままリーチを増やすことができます。

第三者配信を行うには、まずインフルエンサーのSNSアカウントと広告主のSNSアカウントを連携させ、広告アカウントでインフルエンサーの投稿を表示させられるようにします。タイアップ投稿で高いパフォーマンスを発揮したクリエイティブをそのまま広告に使うことは、制作工数を減らせるだけでなく、通常の広告と比較してリーチやエンゲージメント、CTRの大幅な向上が見込めます。

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6. カウントダウンキャンペーン

カウントダウンを通じて、セールや季節限定商品の発売を心待ちにしている顧客を獲得しましょう。

具体的には、インフルエンサーには週に一度などの定期的な頻度で、商品やキャンペーンに関する情報を投稿してもらいましょう。インフルエンサーのファンがブランドのWebサイトで会員登録したり、メルマガを購読したりすれば、その後はブランドとファンとの間で最新のコレクションやセールへの案内をいち早く行うこともできます。また、複数のインフルエンサーを巻き込んでキャンペーンの話題性を高めることができれば、オンライン、オフライン問わず、発売を心待ちにしている消費者を獲得することができます。

カウントダウンはXやInstagramのストーリーなど、情報の更新頻度が高いものを使うと、ファンの盛り上がりも高くなるでしょう。

7. 社会貢献の強調

近年はSDGsなど社会貢献への意識が高まっていることもあり、消費者の購買意欲が高まる年末商戦にあわせてインフルエンサーとの取り組みに社会貢献要素を含めることも選択肢の1つです。それを通じてブランドが大切にしている思いや考えを広めたり、ブランド自体が属するコミュニティに貢献することにもつながります。

商品紹介ではなく、ブランディングに寄ったインフルエンサー施策は、多くの企業にとっては新しい取り組みになることが想定されます。そのため、はじめのうちはこれまで関わりがあったインフルエンサーと協働し、社会貢献や環境問題に対する活動をともに支援することを呼びかけてみましょう。実際、多くの消費者が社会貢献活動に取り組んでいるブランドで買い物をしたいと考えていることが明らかになっています。

  • 87%の消費者が、関心のある問題に対する企業の活動に賛同して商品を購入すると回答しています。
  • 78%の消費者は、環境保護への取り組みが、その企業から購入するかどうかの意思決定に影響を与えると回答しています。
  • 自身の価値観にどれだけ合致しているかで製品やブランドを選ぶ「目的主導型」の消費者は、消費者の多くの割合(44%)を占めています。

インフルエンサーと協力し、社会貢献につながることを示しながら、認知度向上を図るメッセージを作りましょう。具体的には、パッケージなどの環境に配慮した取り組みや、継続的な募金・支援活動など、ブランドがすでに行っている活動を強調し、コミットメントを示しましょう。

8. ブランドのコミュニティへの招待

昨今はデジタルでの顧客体験が重視される傾向が強まっており、ただSNSで話題を作るだけではなく、購入後にも素晴らしい体験を提供する必要があります。

オンラインコミュニティやSNSでグループを作り、継続的に情報を発信しながら顧客との関係を強化しましょう。コミュニティ内ではブランドや商品に関するディスカッションの場を設け、顧客同士がヒントやレビューなどを共有できるようにしましょう。また、メルマガの購読者を増やし、関連するコンテンツを送りましょう。Instagramでも「一斉配信チャンネル」機能がローンチされるなど、継続的な関係構築に向けたコミュニケーションが取れるようになってきています。

インフルエンサーを絡めた取り組みとしては、例えばファッションブランドであれば、インフルエンサーおすすめのコーディネートをまとめた「ルックブック」スタイルのメールを毎週配信するなどの工夫ができます。継続的に情報を届けられるようになれば、年末商戦を1つのフックにして、その後のキャンペーンにも顧客を惹きつけることができるでしょう。

ブランドのファンたちの強力なコミュニティを作りあげるためのもう一つの方法は、限定イベントや限定商品です。Salesforceの調査では、ミレニアル世代とZ世代は、それより上の世代と比べて限定感のあるものを2倍近く高く評価しています。

このように、直接的なインフルエンサーキャンペーンではないですが、購入後にブランドからもよい体験を創出することで、新たに獲得した顧客を長期的な顧客にすることができます。

年末商戦に向けたインフルエンサーマーケティングのまとめ

いかがでしたでしょうか。インフルエンサーマーケティングもただインフルエンサーに商品を紹介してもらうだけでなく、フックのある企画や季節の特性を活かしてより高い成果を追求することが可能です。早いうちから計画することでよい結果を収め、気持ちの良い新年を迎えられるように取り組んでいきましょう。

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