編集機器や配信機材が手軽な価格で手に入り、操作もシンプルになってきたことから、SNS上において様々な特徴をもった動画投稿者やライブ配信者が増加しています。

その中でも、アバターを通して活動しているVTuberは20,000アカウントを越えたといわれており消費者だけでなく企業からも注目が集まっています。

この記事では、VTuberとはどういった存在なのか、消費者への影響力を紹介するとともに、企業がマーケティング活用を検討される際のキャスティングにおいて知っておくべきポイントをご紹介します。

目次

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VTuberとは?

2Dや3Dのアバターを用いてSNS上で動画投稿やライブ配信を継続的に行い、影響力を持つ存在のことをVTuber(Virtual YouTuberの略)と呼びます。

当初はその名の通り、YouTube内で活動するインフルエンサーを指していましたが、現在では他SNSプラットフォームにおける活動者も含めた総称となっており、日本に限らず国内外に多くのファンを抱えるようになっています。

VTuberの成り立ちと現在

2016年12月1日にYouTube上で3DCGのアバターを用いた動画がA.I.Channelにて投稿され、その動画の出演者であるキズナアイ氏が「バーチャルYouTuber」を名乗ったことが起源とされています。

初期のVTuberは、3DCGで全身をモデリングしたアバターを作成し、モーションキャプチャで動きをつけたキャラクターを取り扱い、放送作家が作成した企画で動画投稿を行うような、法人での運営が主体となっていました。

そのかたわら2Dイラストを立体的に動かせるソフトウェア「Live2D」を活用することで、クオリティは3DCGに劣るものの、個人で、また自宅でも運用が行えるVTuberのスタイルが登場します。

そのLive2DにおけるノウハウがSNSで波及したことにより、様々なVTuberが登場することになります。

リッチで動きのあるアバター、良質な企画を軸とした3DCGのVTuberが市場をけん引し、また、参入ハードルの低い2DのVTuberが人気を下支えしたことにより、2018年には「バーチャルYouTuber / VTuber」が、ネット流行語大賞の金賞を受賞しました。

当初は3DCGキャラクターが圧倒的人気を誇っていましたが、運営していくには多くの人員やコストを必要とすることから費用対効果が見合わず撤退するVTuberが増加し、現在は低コストな運用が可能でかつライブ配信のように自宅からでもコンテンツを量産できる2DイラストのVTuberをとりまとめるプロダクションが市場を席巻しています。

代表的なVTuberプロダクション

にじさんじ

ANYCOLOR株式会社が運営するプロダクション

活動期間2018年~
所属メンバー男性、女性ともに所属しているが男性メンバーが特に人気
代表メンバー葛葉、壱百満天原サロメ(ひゃくまんてんばらさろめ)
特徴・もともとはプロダクションではなく「VTuber化」できるサービスからスタート
・3D全盛の時代からプロダクションをスタートし2DのVTuber市場を確立
・2023年時点で所属数が一番多いプロダクション
・ライブ配信(雑談やゲーム実況)がメイン
・タレントのような活動が軸で男女存在している
・事務所内のコラボレーションが頻繁に行われている

ホロライブプロダクション

カバー株式会社が運営するプロダクション

活動期間2019年~
所属メンバー男性もいるが、女性メンバーが特に人気
代表メンバー宝鐘マリン、兎田ぺこら
特徴・2023年時点で所属メンバーのチャンネル登録者数はトップ
・海外部門(英語部門)があり、海外にも多くのファンをもつ
・ライブ配信をやりつつも音楽がメイン
・アイドルのような活動が軸

ぶいすぽっ!

株式会社バーチャルエンターテイメントが運営するプロダクション

活動期間2018年~
所属メンバー女性
代表メンバー花芽すみれ、橘 ひなの
特徴・Virtual eSports Projectが正式名称
・ゲームにおいて一定レベル以上の上手さを持つメンバーが所属する
・eスポーツ大会公式アンバサダーにプロダクションごと就任したり、所属メンバーが選手として出場するなどeスポーツとの親和性が高い

ななしいんく

774株式会社が運営するプロダクション

活動期間2023年~
所属メンバー女性
代表メンバー因幡はねる、西園寺メアリ
特徴・774inc.に所属していたソロVTuberタレントやVTuberグループが統合
・ゲーム実況だけでなく音楽コンテンツも多く自社の音楽レーベルをもつ
・運営主催の大型イベント、リアルイベントが得意

VTuberがあたえる消費者への影響力

矢野経済研究所が発表したVTuber市場規模推移によると、2022年時点で520億円(グッズが267億円(構成比51.3%)と過半を占め、ライブストリーミングは135億円(同26.0%)、BtoBが78億円(同15.0%)、イベントは40億円(同7.7%))、2023年には150%成長し80億円まで上昇する見込となっており、消費者への影響力も高まっているといえます。

では、実際にVTuberが消費者への影響力が見えるような参考例をご紹介します。

Super Chat世界ランキングにおける年間Top100の6割がVTuber

YouTubeの様々なデータを取りまとめている情報サイト「PLAYBOARD」が公開している、2022年度におけるSuper Chat売上金額ランキングを見ると、約6割がVTuberとなっています。

また、2021年度におけるランキングでは、Top9まで全員がVTuberであり、1位の方は2億5,000万円以上の売上を立てていました。

Super Chatは一般的な商品購入やクラウドファウンディングとは異なり、対価のない「応援」という意味あいが強く、上記データから世界トップクラスの求心力、影響力が伺えます。

VTuberの影響力によりオフラインテーマパークの入園者が2倍に

三重県にある複合リゾート施設「志摩スペイン村」にあるテーマパーク「パルケエスパーニャ」のファンである、にじさんじ所属のVTuber「周央サンゴ」さんが、ご自身の定期配信にて度々、志摩スペイン村を訪れたことを語っていたところ、志摩スペイン村の公式X(旧Twitter)とつながりができ、また配信が切り抜きによって拡散されたことから2022年に大きな反響につながりました。

あとなびマガジンの記事によると、志摩スペイン村の公式Twitterのフォロワー数は1.2万人から3週間で5万人を突破し、周央サンゴさんが「世界一美味いチュロス」と評価したチュロスは売り上げが7倍以上に増加したようです。

2023年にはテーマパーク自体と様々なコラボレーションが行われ、BUSINESS INSIDERの記事によると、前年対比で入園者が約2倍増加したことが分かりました。

  • コラボ期間の入園者数(2023年2月〜3月)
  • イベント初日(2/11[土]):7000人(前年同曜日3000人、対前年比約2.3倍)
  • 2月計:7万2000人(前年3万人、対前年比約2.4倍)
  • 3月計:16万4000人(前年9万2000人、対前年比約1.8倍)
  • 2〜3月計:23万6000人(前年12万2000人、対前年比約1.9倍)

このように、VTuberはヴァーチャルな存在でありながら、SNSだけでなくオフライン商材にも強い影響を及ぼせる存在であることが伺えます。

VTuberのキャスティング

VTuberのキャスティングは、一般的なインフルエンサーのキャスティングと大きな違いはありません。

VTuberをキャスティングするメリット

上記の項で紹介したとおり、VTuberは他インフルエンサーと比較しても、多くのファンを抱えつつも非常に強い求心力をもっており、SNS上でトレンドを生み出すだけでなくオフライン商材においても大きな影響を与えることが期待できます。

VTuberをキャスティングする際の注意点

大半のファンはVTuberそのものに愛着があり、企画やコンテンツ(ゲームや音楽、グッズ、施設など)まで同等の興味や愛着をもつとは限りません。

貴社商材のファンになってもらう、また大きな反響を得るためには、VTuberが商材を理解し「自分ゴト」としてファンに紹介する必要があり、自社の商材とマッチするであろうVTuberを推測で見つけるだけでなく、日々の活動、ファンとのコミュニケーションや配信されるコンテンツのチェックを行ったうえで、商材にマッチするキャスティング候補を見つけなければなりません。

大半のVTuberは編集された動画の投稿ではなくライブ配信を活動の主体としていることから、商材の細かな機能をレビュー形式で説明してもらう、NGワードが多数ある、などの複雑な依頼は対応してもらえない可能性があるという点に注意し、複数名のキャスティング候補を見つけておきましょう。

また、オフライン商材においても大きな影響力があるとはいえ、あくまで活動拠点はオンラインです。商品を実際に見せながらレビューをしたいなどの希望がある場合、使っているスタジオや機材によって可否が異なるため、そのVTuberの配信でどのように見せることができるかしっかりとした企画が必要です。

キャスティングする方法

VTuberをキャスティングするには大きく3つの方法があります。

VTuberプロダクション

オリジナルのアバター素材や、アバター自体を動かすソフトが必要なため、著名なVTuberに限らず多くのVTuberはプロダクションや法人に所属しています。

プロダクションは所属メンバーの好みやスケジュール管理、所属メンバー同士のコラボレーション企画など、VTuberの力を最大限発揮できる提案をしてくれるはずです。

既にマーケティングプランがあり、キャスティングしたいVTuberやプロダクションが決まっている場合は、所属しているプロダクションを調査し直接連絡してみましょう。

広告代理店

広告代理店は企業とインフルエンサーや施策立案における仲介業者となるため、一見依頼するメリットがないように見えるますが、VTuberプロダクションを横断したキャスティングが行えるだけでなくVTuberとは他のカテゴリのインフルエンサーを起用したり、また企画や目的を第一に鑑みたマーケティングプランの提案が行えるところに強みがあります。

また、多くの代理店では計測が難しいといわれるインフルエンサーマーケティング施策に関するレポーティングが充実している、という点も大きなメリットとなります。

VTuberとシナジーは感じつつも、どのようなマーケティング施策、プロモーションを行えばよいのか定まっていない方は広告代理店に相談してみましょう。

VTuber個人へ直接連絡

大半のVTuberはプロダクションや法人に所属していますが、中には個人で活動しているVTuberも存在しており、中にはYouTubeやX(旧Twitter)などに連絡先のメールアドレスを公開しているケースもあります。

個人で活動されるVTuberは価格交渉ができるなどのメリットがある半面、ビジネス経験のない方が多く、商材の説明やプロモーションの意図、スケジュール管理など貴社との連携を密にできるかが重要となります。

既にインフルエンサーへ直接タイアップ依頼、実施をした経験があり、また、多くの予算を割くことができない方は直接連絡してみましょう。

VTuberへ依頼する内容を整理したい

VTuberを起用した事例

最後に、VTuberを起用して成果につながったプロモーション事例をご紹介します。

ぱちんこ、パチスロ遊技機の製造販売を行うサミー株式会社 様の事例です。

「バーチャルマーケット2024 Summer」にて企業ブースを出展されており、会場ではVTuberとのコラボパチスロを設置されていました。会期中には、展示会の様子やコラボパチスロを体験する様子をYouTubeにてライブ配信しました。

同時に、XにてSNSハッシュタグキャンペーンを開催することで、多くのUGCを創出。多くの新規ユーザーにアプローチすることができました。

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VTuberの影響力とキャスティングの際に知っておくべきポイントのまとめ

VTuber市場は2018年から現在にかけて成長を続けており、オンライン上だけでなくオフラインにおいても大きな影響力を持っており、企業との取り組みやコラボレーションも増加しています。

とはいえ、VTuberを起用したマーケティング施策の費用対効果を鑑みた際、キャスティングは慎重に行う必要があるものの、20,000人以上存在するVTuberのコンテンツをそれぞれチェックすることが困難になりつつあり、まずはプロダクションや広告代理店に相談することをおすすめします。

VTuberをキャスティングしたいものの、自社商材と相性のよいのが誰なのかわからない、企画面においてもイメージがついていない、とお悩みの際はぜひTHECOOにご相談ください。

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