動画視聴習慣が一般化した今日、企業やブランドにとってもYouTubeのマーケティング活用は必要不可欠となりました。YouTubeは10分を超えるような長尺動画もよく視聴されることもあり、動画の構成が投稿の成果を大きく左右します。
動画制作に慣れていないと、どのような構成にするべきか迷ってしまうことも少なくありません。そこで本記事では、YouTubeマーケティングで成功するため、主にチャンネル運営やインフルエンサーマーケティングの際に必要な動画構成のポイントについて解説します。動画制作に自信がない方も、この記事を読めばYouTubeマーケティングで成功するためのヒントが得られるでしょう。
目次
YouTubeの重要性と動画構成の重要性について
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査では、YouTubeの利用率は65.2%となり、他の動画視聴サービスと比較しても圧倒的な視聴習慣があります。また、他のSNSと比較しても利用頻度が非常に高いプラットフォームであることが明らかになっており、THECOOの調査では、SNSを利用する人の中でYouTubeを「毎日使う」と回答した人は実に47.9%にのぼりました。
近年はショート動画が流行っていますが、長尺動画も引き続き多く視聴されています。GWIの調査では、Z世代の93%、ミレニアル世代の89%は20分以上の長尺動画の視聴習慣があると回答しています。
具体的な話に移る前に、実際に動画を制作するための手順についても考えてみましょう。大きく分けると5つの順番で進行していきます。
- 企画:目的とターゲット視聴者を決め、テーマを考える
- 構成:動画の流れを決める。場合によっては台本も作成する
- 収録:構成に沿って収録する
- 編集:収録した動画を見やすい形に編集し、エフェクトなどを追加する
- 公開:YouTubeに動画をアップロードし、概要欄やリンクなどを設定する
動画の完成度は、実際に動画を制作しはじめる前の準備段階、「企画」と「構成」にかかっていると言っても過言ではありません。テレビや映画など、プロが作る動画は非常に綿密に練られた構成のもと、動画が制作されています。
そのレベルとまではいかなくとも、YouTubeの動画でも企画と構成をしっかりと準備していくことで、楽しんでもらえる動画となります。
目的にあわせた動画の種類
YouTubeでは長尺から短尺まで、さまざまな動画がアップロードされています。近年は、TikTokやInstagramリールなどの普及により、YouTubeショート動画の視聴が増えていますが、既存の動画とやや視聴習慣が異なるため、目的に合わせた動画作りを意識しましょう。
kamui trackerの調査では、チャンネル登録者を多く獲得している企業チャンネルの動画では「4分未満」または「16分以上」の動画の比率が多かったことが明らかになっています。つまり、目的に応じて、しっかりと情報を見せる長尺動画と、気軽に情報を得られる短尺動画の制作がそれぞれ重要だと考えられます。
通常(長尺)動画
いわゆる一般的なYouTube動画です。8分以上の動画にすると「ミッドロール広告」と呼ばれる動画途中の広告を挟めるようになるため、広告収益を得ているインフルエンサーの多くは8分以上の動画を制作しています。それらに慣れた視聴者は、10分以上の動画の視聴習慣があるといえます。
こういった通常の長尺動画では、その他の一般的なコンテンツでは届けることが難しいリッチな情報を届けることができます。また、通常動画は、スマホやPC、インターネットに接続されたTV「コネクテッドTV」など、さまざまなデバイスで視聴されるため、多岐にわたる場面での視聴が想定できます。
目的:ニーズ顕在層に情報を届け検討促進する
ショート動画
YouTube Shortsと呼ばれるショート動画は、スマホで撮影・編集された縦型サイズの動画を投稿できます。長さは最大60秒となります。検索結果にもショート動画は表示されますが、ショート動画は上下にスクロールすることで、おすすめされた次の動画に移ることができます。
その結果、YouTubeのレコメンデーションにうまく乗れば再生回数の伸びが期待できますが、受動的に再生されることも多いため、視聴完了率やエンゲージメント率が低くなる可能性があります。
また、ショート動画は通常動画の切り抜きという形でも数多く投稿されています。通常動画との組み合わせで投稿を作成し、拡散を狙うというのも戦略の1つです。
目的:多くの人にリーチしたい、インパクトのある動画で興味を引きたい
動画構成の基本構造と注意点
動画の構成には決まった正解はなく、特に近年はインフルエンサーの活躍によりさまざまなスタイルの動画が楽しまれるようになりました。しかしながら、コンテンツのベースとしては「序・破・急」という考え方があり、これをYouTubeの動画制作、特に通常の長尺動画に応用することができます。
それぞれの役割は以下です。
- 序:導入、問題提起やテーマの紹介
- 破:本編、紹介や議論など
- 急:結末、全体総括や促したい行動の紹介
YouTubeの視聴者は必ずしも動画自体に興味を持って動画を見ているわけではなく、また、競合となる動画が数多く存在します。そのため、「オープニングでいかに興味を引くか」「スピード感を持った構成でいかに最後まで飽きさせないか」「視聴者にいかにアクションを促すか」の3点が重要です。
ここから、3点を中心に構成のポイントについて少し紹介します。
視聴者の興味を引きつける導入部分の構成
導入部分は大きく2つに分かれます。1つめが、各動画に共通する「オープニングカット」と、本題へ向けて動画のテーマを説明する導入部分です。
オープニングカットは、洗練されたエフェクトや音楽などを使い、チャンネル名を紹介するカットです。テレビ番組でいうと「オープニング曲が流れる部分」のようなものです。チャンネルの世界観を表現する大事な要素であり、基本的にはずっと使い続けるものなので、外注も検討に入れ高いクオリティのものを作りましょう。
一方、動画のテーマを説明する導入部分ですが、こちらは動画ごとに構成の段階で考えます。「いかに興味を引くか」という観点では、いくつかの手法が考えられます。いくつかの例を紹介します。
- 冒頭に動画のハイライトとなる部分を切り出して配置する
- 結末に近いことを先に話す
- (インフルエンサーマーケティングの場合)重大な告知やカミングアウトをする
- 共感を得やすいシーン(情景)のカットを入れる
YouTubeで多くの人気を集めるインフルエンサーの動画では、タイトルやサムネイルでも興味を引いています。そのインパクトに負けないように、さまざまな手法で興味を集めています。自分たちなりの導入部分の作り方は、好きなインフルエンサーの動画を参考にしてみるのもよいでしょう。
動画の視聴維持でパフォーマンスを高める本編の構成
YouTube内で動画の評価が高くなるためには、「視聴維持率」と「エンゲージメント率」が重要になります。つまり、「いかに最後まで見てもらうか」と「いかに面白い・役に立つ情報を届けられるか」を両立する必要があります。
動画の技法については割愛しますが、THECOOがインフルエンサーマーケティングの企業案件を支援する中で得た、YouTubeで高い視聴維持率とエンゲージメント率を出す動画には以下の特徴があります。
- 結論をなるべく動画の最後に持ってくる
- (複数名のコラボレーションなどで)会話を盛り上げる
- (出演者の)個性の出るリアルな内容にする
- ながら見・聞きしやすい、ほどほどな濃さ・展開にする
視聴者にアクションを促す結末の構成
YouTubeには、動画の評価を高めたり、実際に視聴者にアクションを促すことのできる機能が実装されています。これらをうまく使うことで、動画単独での態度変容や長期的なファン作りにつながります。
YouTubeでは一般的に以下の行動を促すことが多いです。構成の段階で、次のアクションを明確に意識しておき、それを盛り込むことで、収録時に漏れをなくすことができます。
チャンネル登録
チャンネル登録によって今後もYouTubeチャンネルの視聴につなげやすくなります。チャンネル登録すると、新規投稿動画が視聴者のトップ画面に表示されやすくなったり、アプリでの通知を届けられるようになったりします。
高評価
高評価をつけてもらうことで動画自体のパフォーマンスを高め、さらに興味関心情報に基づきその他の動画も表示されやすくなります。
概要欄のリンクをクリック
YouTubeは、概要欄に記載したリンクから商品・サービスの購入や詳細情報につなげることができます。概要欄にリンクがあることを伝え、離脱前に動画をクリックしてほしいと紹介しましょう。
終了画面
YouTubeには、動画の最後に5〜20秒の終了画面を追加できる機能があります。チャンネル内の動画が増えてくると、終了画面に別の動画を設定することで次に見てほしい動画に誘導させることができます。
インフルエンサーマーケティングにも欠かせない動画構成
ここまで、自ら動画制作することを想定して構成作りについて紹介してきましたが、YouTubeでマーケティングを成功させるためにはインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらう「インフルエンサーマーケティング」の組み合わせが非常に重要になります。
インフルエンサーは既に数万〜数十万人のチャンネル登録者数を抱えており、タイアップ動画ではインフルエンサーのファンに直接的に訴求することができます。そのため、自社チャンネルの場合には長期的な取り組みが必要になる一方で、インフルエンサーマーケティングでは短期的に行動を促せます。また、インフルエンサーのファンを企業やブランドのファンに転化させ、チャンネル登録者数を増やすことにもつながります。
インフルエンサーマーケティングの場合には、インフルエンサー自身が構成を考えてくれるから構成の指示は不要だと考えるかもしれません。しかしながら、通常の投稿とタイアップ案件投稿では訴求したい内容が大きく変わることもあり、必ずしもインフルエンサー自身が紹介に慣れていない場合もあります。
一方、商品の訴求を正しく行ってもらうために、ある程度構成のコントロールが必要になることもあります。そのため、インフルエンサーマーケティングの際には、自社商品・サービスの紹介やタイアップの目的などを含めた「オリエンテーション」と「商品紹介のための動画構成」の要望を伝えることが成果に大きく左右します。
インフルエンサータイアップ投稿の形式
また、インフルエンサーによってさまざまなスタイルで投稿することがあります。主なものは以下になります。
- 商品・サービスのレビュー
- 実際の体験(メイク動画、ゲーム実況など)
- ルーティーンなど日常に溶け込ませた形で商品・サービスの投稿
- オフラインイベントなどへの参加の模様の紹介
- 公式チャンネルの投稿への出演
- ライブ配信
目的や形式によって構成が異なることもあり、構成は企画がまとまった時点で事前に考えておくことをおすすめします。
インフルエンサーマーケティングにおすすめの資料
THECOOではインフルエンサーマーケティングを行う際の動画構成をはじめ、全体の流れを理解し成果の出るタイアップ動画にするためのタスクリストを作成しています。インフルエンサーマーケティングを通してYouTubeでのマーケティングを成功させたい方はぜひご覧ください。
資料はこちらからご覧いただけます。
YouTubeマーケティングを成功させるための動画構成のまとめ
認知獲得や顧客獲得など、企業がYouTubeを通じたマーケティングを成功させるための重要な要素、動画の構成作りについて紹介しました。自社チャンネルやインフルエンサーマーケティングなどを駆使して視聴者の興味を引く魅力的な動画を制作し、成功につなげましょう。